トランプ前大統領が3月4日、新大統領に就任する!?そんな言説が「ディープ・ステート」(影の政府)と戦う救世主としてトランプ氏を信奉する陰謀論集団「Qアノン」によって拡散され、米大手メディアでも報じられた。「陰謀論」といえば、月刊「ムー」(ワン・パブリッシング発行)が取り上げてきたテーマの1つ。同誌の三上丈晴編集長に見解をうかがった。
民主党の政治家、セレブらが小児性愛や人身売買の地下組織に関わり、トランプ氏がその勢力と戦っているなどと主張してきたQアノン。信奉者が共和党の下院議員に選出され、その言動が物議を醸すなど、看過できない存在になっている。
今回の言説は「1871年に米国は国家から企業に変わったため、それ以降に就任した全ての大統領は正統ではなく、トランプ氏が3月4日に『第19代』の大統領に就任する」という内容。ならば、4年前に就任した「第45代」のトランプ大統領は非合法なのか?とツッコミたくもなる。
三上編集長は当サイトの取材に対して「陰謀論が世界的に語れるようになりましたね。なにしろ、アメリカ大統領が国際金融資本を中心とするディープ・ステートを名指しし、ネットの世界でフェイクニュースを含めた陰謀動画や記事がアップされるようになった。陰謀論が台頭することで、既成の権力や組織に対する戦いが始まったような印象を受けますね」とトランプ政権からの経緯を示した。
日本でも根拠が不確かな情報がSNSで流布される現実がある。
三上氏は「日本の場合は、日米同盟で無関係ではないという理由で、陰謀論を喧伝するものの、結局、米国内の問題であるがゆえ、おそらく半年もすれば、関心が薄れるのではないか。もっとも、トランプが復権してくると、話は別だが。いずれにせよ、今回の陰謀論はスケールが小さく、歴史的な背景が希薄。つまりは、陰謀史観にまで昇華されていない」と見解を示した。