中学受験を家庭で支える場合、親の体調次第で学習状況が左右されることも少なくない。長男(現在高校1年生)と次男(現在小学5年生)の中学受験を見守ってきたこの4年半で、筆者は何度も体調を崩しては寝込み、そのたびに学んできたことがある。
つい最近、家族の中で次男以外が次々とコロナに感染し、筆者自身も数日間ダウンしてしまった。こういうとき、筆者は「さっさと寝る」と決めている。
もし無理に起きて、フラフラの状態でそばにいれば、子どもに感染を広げるリスクもあるし、何より回復が遅れる。中途半端に関わっても、頭が回っていないと教えるほうもストレスが溜まり、子どもにも伝わってしまう。これまで何度も同じ状況を経験してきたが、結局のところ「さっさと寝て治す」が最短ルートだと、実感している。
親が寝込んでいる間、息子は勉強が進まないこともあるし、「今日はもういいや」とゲームや読書に走ることもある。でもそれでよしとするのだ。塾なしで勉強していると、どうしてもマンネリになりがちなので、逆に「完全にオフの日」になるのも悪くない。親が体調不良の日は、子どもにとっても息抜きの日なのだと思うようにしている。
また筆者が寝込んでいた数日間で、高校生の長男が次男の勉強を見てくれたこともある。「今日はどこやるの?今週の予定だと、先に理科をやったほうがいいよ」と、進度をチェックして取り組む内容を提示し、一緒に問題集に取り組んでくれていたのだ。
次男もいつもより楽しそうで、筆者がそばにいるときより勉強が進んでいた。普段とは違う教え方や声かけが新鮮だったようで、次男にとってもいい刺激になったのかもしれない。
さらに勉強だけでなく、食事の支度も子どもたちが分担してくれた。その時は長女(現在中学3年生)も含めた3人でカレーを作っていた。そうした様子を見ていると、たとえ机の上の勉強は進まなくても、普段とは違う学びの機会が確かにあるのだと、感じずにはいられない。
体調不良は、身体からのサインだ。無理をすればするほど、かえって家族全体のリズムが乱れてしまう。元気でなければサポートもできないし、そばにいる意味も薄れてしまう。具合が悪いときは無理せず、まずは自分の身体を休めること。それが結局のところ、勉強を進める上でも、もっとも効率的だと感じている。
<プロフィール>
野田 茜
2男1女のママライター。2022年、高1長男が完全塾なしで中学受験をし、偏差値(四谷大塚)60半ばの中高一貫校へ進学。現在、小5次男が通信教材を利用し自宅学習で中学受験に挑戦中。自身は中学受験未経験で大学まで公立育ち。中学受験の問題の難易度にまったく歯が立たず、逆に子供に教えられる。「ママ、教えてあげよっか?分かる?」と次男に心配される日々。