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「泳ぎが苦手」「水着姿に抵抗感」「日焼けしたくない」…懸念される子どもの〝水離れ〟水着改良等で対策

北村 泰介 北村 泰介
性の多様性や身体への配慮から開発された「男女共用セパレーツ水着」。肌の露出や日焼け対策にもつながる
性の多様性や身体への配慮から開発された「男女共用セパレーツ水着」。肌の露出や日焼け対策にもつながる

 夏本番、プールの季節がやってきた…という時期ではあるが、コロナ禍を経た今も熱中症の危険性に加え、「肌を露出する水着ヘの抵抗感」といった心理的な要因も重なって、子どもたちが「水」に接する機会が減っているという。このほど、全国の小・中学校を対象に「水泳授業に関するアンケート」を実施した学校水着の大手「フットマーク」(本社・東京都墨田区)にその実態を聞いた。

 全国の1445校に対し、同社が5月23日~6月6日に行った調査によると、「今年度、水泳授業を実施予定」と回答した学校は 93.6%。従来通り、大半の学校で水泳授業が行われることが明らかになった。(※暑い期間が短く、プールに入る回数が少ない北海道、青森県、岩手県、秋田県は調査対象外)

 また、今回の調査を通して、水泳授業の「時期」や「場所」に対する考え方にも多様化の兆しがみられた。3割近い29.5%の学校が「授業時期を昨年より早めた」とし、15%の学校では「スイミングクラブや公営プールなど自校以外の施設を利用する予定」と判明した。

 同社の担当者によると、実施時期は6月が全体の約8割を占め、早めた理由として「年間スケジュールの都合」や「熱中症への懸念」などが挙げられるという。また、自校以外の施設を利用する背景として、担当者は「学校プールの老朽化や維持費の問題があると考えられます」と補足した。

 水泳授業を運営する上での課題は「水質管理」「熱中症」「指導の難しさ」「見学者の多さ」など多岐にわたる。

 「水泳授業における困りごと」として「見学者の多さ」を挙げた学校は全体の30%(394件/1314件)。見学理由としては、「泳ぎが苦手(386件)」が最多で、次いで「水着姿に抵抗がある(287件)」。さらに「日焼けをしたくない(145件)」などが続いた。担当者は「(泳ぐことの)技術的な不安に加え、心理的・身体的な抵抗感も見学の一因となっていることがうかがえます」と指摘した。

 「泳ぎたくない」「水着になりたくない」「日焼けしたくない」…。

 義務教育の体育授業において、病気やケガ、生理など体調面以外の理由での見学は認められないのでは…と一般的には考えられがちだが、参加・不参加は〝任意〟だという。同社の担当者は「公立中学校の先生にうかがったところ、『今も昔も水泳授業は申請があれば、基本的に(見学を)承認する。無理に入らせたりすることはない』とのことです」と付け加えた。

 ただ、「肌の露出」「日焼け」に対する抵抗感という〝心理的な理由〟で水泳授業を見学する生徒であれば、その課題を解消する水着によってプールに入る道筋が付く。そこで、露出を控えた水着やジェンダー配慮型のスクール水着の道入、紫外線から肌を保護する機能を持つスポーツウェア「ラッシュガード」の使用許可など、「授業に参加しやすくなるように環境整備に取り組む学校が増えています」(担当者)という。

 その一つは、同社が2022年に業界で初めて発売した「男女共用セパレーツ水着」。性の多様性や身体への配慮といった観点から開発され、初年度はテスト販売で公立中学校3校が従来の水着と選択できる形で導入したことを皮切りに、23年度は300校以上、24年度には400校以上、今年度は6月時点で500校以上の学校で採用を見込んでいるという。

 コロナ禍によって水泳の授業が中止された時期を経て、記録的な猛暑による熱中症のリスクから屋外プールでの授業ができなくなったことなどを背景に「泳げない子どもが増えている」と報じられている。

 水泳は授業や競技だけでなく、水難事故や災害から命を守るという意味で、生きていく〝術(すべ)〟の一つとなる。まずは「肌の露出や日焼け」といった具体的な課題を解消する水着の開発が、子どもの「水離れ」を払拭する一歩になりそうだ。

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