もうすぐ節分。節分の行事といえば豆まきが伝統的だが、恵方巻も“新しい伝統”として、多くの人に受け入れられている。
恵方巻とは、その年ごとの“恵方”(その年の歳神様がいる方向)を向いて食べる巻き寿司のことをいう。今年の方角は「南南東やや南」。1人1本、願い事をしながら黙々と一気に食するのが作法と言われている。農林水産省によると、「商売繁盛、幸せを一気にいただく」という縁起かつぎで、正月に行われていた「恵方参り」が形を変え、節分のしきたりとして復活したものだという。途中で話をしたり、恵方巻を食するのをやめると、福が逃げるといわれている。
恵方巻の起源は諸説ある。一つは、江戸時代末期から明治時代初期に、大阪の商人が商売繁盛の祈願のために始めたという説だが、長く忘れられていた。花街で行われていた行事という説もある。再び注目されたのは1977年。大阪の海苔問屋組合が行ったキャンペーンだといわれている。さらに1989年に大手コンビニチェーンの宣伝戦略によって、全国的に広がったとされている。
ではなぜ「節分=恵方巻」が定着したのか。企業主導のキャンペーンや宣伝では、一時のブームになっても、定着まではなかなか難しい。それを解く鍵は「主婦」「献立」がキーワードとなってくる。
例年、節分の時期になるとSNSには
「主婦にとってはその日の献立考えなくてもいいありがたい風習なのよ ご飯作らん奴は黙っとれ」
「献立考えなくて良いなんてサイコー」
「ここまで広まったのは『海苔巻一本で夕食とする事ができる』の他に『献立に悩まずに済む』も大きいと思う」
「伝統じゃないとか歴史がないとか縁起物じゃないとか、どうでもいいんだよ。海苔巻き一本を渡すだけで夕飯とすることが許される、そこに意味があるんだよ」
「献立に悩む方々にドンピシャに響いたんだろうな」
「何か詳しくは知らないし、知ろうともあまり思ってないのだけど…『献立を考えなくて良い日』と、いう認識なのでハッピー!」
「恵方巻きもイワシも買った。あとはお味噌汁作るだけ」
といった声が並ぶ。
つまり毎日の献立に悩む人たちにとっては、365日のうちの1日とはいえ、「献立を考えなくてすむ」ということが、定着した最大の要因だろう。自分で作るのもよし、デパ地下やスーパーで買うのもよし。まさに企業側と主婦側のニーズがピッタリと一致したため、ここまで定着したといえる。
生活者と社会の生活満足度向上に資する研究・発信を行う「くふう生活者総合研究所」の昨年の節分直前の調査によれば、全国9631人にのうち「恵方巻を食べる予定」と回答した人は66.3%。3人に2人が食べる予定であり、全国的に節分の風習として定着していることがうかがえた。恵方巻をどのように用意するかを尋ねたところ、「スーパーで購入する」(66.7%)が最多で、「手作りする」(17.1%)、「専門店で購入する」(6.7%)、「コンビニで購入する」(6.2%)と続く結果となっている。