“昭和の日本発ナイトカルチャー”である飲食店「スナック」の普及活動で知られるタレントの玉袋筋太郎(59)がこのほど、都内でイベント「東京スナックサミット2026」を初開催した。全国各地の〝名物ママ〟や愛好家らが集結し、バンド「電気グルーヴ」のメンバーで俳優・タレントのピエール瀧(59)らも参加して親ぼくを深めた。玉袋にライフワークの一つであるスナックに対する思いを聞いた。
今では「町中華」の“伝道師”となった玉袋だが、スナック文化の啓蒙活動はそれ以前から続いていた。「町中華で飲ろうぜ」(BS―TBS)の放送開始は2019年で、スナック探訪番組「玉袋筋太郎のナイトスナッカーズ」の放送は09年から。さらに、14年設立の一般社団法人「全日本スナック連盟」(略称・全スナ連)の会長を務め、17年には東京・赤坂見附に自身の店「スナック玉ちゃん」を開業して現在に至る。
玉袋は「全スナ連」の設立について「ココロはシャレよ」と振り返り、「世代交代は、町中華も一緒で、難しいところもあるけど、ここは俺が旗を振っている以上、ネガティブなことは言いたくない。その店なりの物語、ロマンとかメモリーを伝えたい」と、個人経営の店で働く人や常連客らの人模様を掘り下げている背景を明かした。
町中華とスナックの共通点、相違点について、玉袋は「基本はサービス業。個人商売ってことで言うと、形式は違っても理念は一緒だと思う。違うところは、スナックは『人』、中華は『味』とか、そういうのはあるけど、そこに『客』はいる」と指摘した。
町中華の場合、食事のみの短時間で退出する人、アルコール飲料を注文して腰を落ち着かせて飲む人がいる。番組では後者のスタイルかと思わせる玉袋だが、「俺は『メシ食うだけ』のタイプなんだよ」という。言葉を交わさなくても、長く通うことで双方に信頼関係が生まれてくる。そういう意味で、スナックも“夜の社交場”とはいえ、その場で時を過ごすスタイルは人それぞれだ。
玉袋は「俺の両親がスナックをやってた頃、毎日来ているおじさんがいて。何もしゃべらないで最後の最後までいて帰って行った。いよいよ、その店を閉めるという時、それまで何もしゃべらなかったのに、そのおじさんがエンディングを迎える時もその場にいたというんだよ。それで、ほんとの最後の最後に『楽しい時間、ありがとう』と言われた日には…。これは『いいね』と思った。様々だからね、お客さんは」と振り返った。
20日に開催されたイベントには昼夜の2部構成で延べ300人以上が参加。「スナックママ講座」では、カラオケを(うまくはなくても)最後まで歌い上げた客にかける言葉として「『うまいね』と言うより、『いい歌だったね』と言います。ウソはついてないですから」といったママの配慮も披露。さらに、キャスト(従業員の女性)と客が恋愛関係になることはあるかという質問には「あるでしょう。男と女なんですから。それも出会い。ただ、そうなった時の(店側への)『ほうれんそう(報連相)』(※報告、連絡、相談)は大事にしてもらっています」「結婚した例も多いです」といった回答が続いた。
さらに、玉袋のYouTube番組で展開している企画の「体験版」となる「企業対抗カラオケ選手権」の決勝大会には、北海道から沖縄まで、全国から参加した会社・団体の社員や職員、スナックのママらが熱唱。MCは北野武監督の映画「首」にも出演したお笑いコンビの「アマレス兄弟」が務め、応援団長として玉袋が同い年の瀧と共にそろいの金ぴか衣装で盛り上げた。
玉袋は配信もされた今回のイベントについて「文化の啓蒙…いや、“文化”なんて言ってしまうと偉そうだし、説教くさくなっちゃうね。要は『もったいなくね?』という感じかな。ここを知らないで成長して大人になっていくのは『もったいない』と。隔世で今の若い人たちの間で(スナックが)ブームになっていることを考えると、脈はあるなと。今の若い子は貪欲で(YouTubeなど)メディアの数もがすごいことになっているから。店の数が減っても、『まだあるぜ』ってことを伝えたい」と訴えた。
その上で、玉袋は「今回出てくれた若いママも離婚経験者だったりとか、そういう傷もあって、客にも傷があるわけだよ。お互いにその傷を見ながら、かばい合うというか、ズケズケ行かずに、なにげに距離感を取って、傷を癒やす。そういう意味でスナックは“湯治場”なんだけど、『そこを分かっていただきたい!』なんて言うと“老害”になっちゃうからね。まずは『楽しいよ』と。そこからですよ」と呼び掛けた。