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特撮ドラマの原点「ウルトラQ」とは? 元祖ヒロイン・桜井浩子が著書を出版「現場で見るもの全てが驚き」

北村 泰介 北村 泰介
「ウルトラQ」の代表的な怪獣「ゴメス」のTシャツ姿で、著書に綴った現場のエピソードを語る女優・桜井浩子=都内
「ウルトラQ」の代表的な怪獣「ゴメス」のTシャツ姿で、著書に綴った現場のエピソードを語る女優・桜井浩子=都内

 円谷プロダクションの特撮テレビドラマにおけるヒロインのパイオニア的存在となった女優・桜井浩子(80)がつづった新刊「ウルトラQ はじまりの深層」(立東舎)が11日に出版される。初放送から60周年を迎えた「ウルトラQ」(TBS系、1966年1月~7月)の撮影現場、スタッフ、キャストの素顔や作品への思いなどを自ら描いた力作だ。桜井がよろず~ニュースの取材に対し、自身の原点となった同作について語った。(文中敬称略)

 「ウルトラQ」は1960年代の後発作品「ウルトラマン」(66年7月~67年4月)や「ウルトラセブン」(67年10月~68年9月)のように「巨大化するヒーロー」は出てこない。当初は米テレビドラマ「トワイライト・ゾーン」(59年)のようなSFドラマを目指したが、怪獣を中心とした作風に路線を変更。撮影は放送前年の65年に済ませており、放送時は撮影順ではなく、怪獣の登場作品(第1話『ゴメスを倒せ!』等)を序盤に回すなど、内容を考慮して順番が定められた。

 主要キャストは3人。65年の撮影当時、10代だった桜井は新聞社の報道カメラマン・江戸川由利子を演じ、現場に帯同する航空機のパイロット・万城目淳役の佐原健二(94)、その助手・戸川一平役の西條康彦(87)と組んだ。61年に東宝に入社した桜井は「映画の中の薄幸な少女」というヒロイン像に憧れたが、一転して特撮ドラマへ。「キミがヒロインだよ!」。数々の名作を執筆した脚本家・金城哲夫(76年死去、享年37)から「円谷特技プロダクション」(現・円谷プロダクション)で伝えられた言葉が今も忘れられない。

 最初の撮影現場は放送時に第4話となる「マンモスフラワー」。人間を襲う巨大植物「ジュラン」の巨大な根を皇居の濠(ほり)で目撃する場面で、桜井は「見るもの全てが驚き」だったという。

 「お濠の何も浮いてないところを見て『何か浮いている』とビックリしなきゃならないというのができなくて…。切羽詰まって、佐原さんと西條さんを見たら、信じられないくらい目線が定まっていて、(視線の先に)物体を見た…と感じさせられたので『想像すればいいんだな』と。本番では“イガイガの目が付いた物”を自分なりに想像して(作品での)あの顔になったんです」

 そんな手探り状態から、好奇心旺盛なヒロイン役を完走した。桜井は「現場で見るもの全てが驚きで、ハテナ(?)マークばっかりでした。それでも、今、お濠のシーンを見返すと『結構、的確にやってんじゃん!』と自分で思っちゃって(笑)。特撮の芝居を習ってないのに『いい勘してたな』とは思います。もういいよね、自慢しても…それなりの年だから(笑)」

 昨年出版された「ヒロインの追憶 ウルトラの絆」(立東舎)に続く著書で、94年の「ウルトラマン青春記―フジ隊員の929日」(小学館)以来、7冊目の著書となる。当初はフジ・アキコ隊員を演じた「ウルトラマン」を合わせて一冊にする予定が、「ウルトラQ」の分量が多くなって1本に絞ったという。

 「ボリュームが増えたということは、私の中に根付いているのはやっぱり『Q』なんですよね。『Q』がうまくいかなかったら、それこそ『マン』も『セブン』もないですから。特撮の根っ子を作ったのは『Q』。そこからカラーにして『ウルトラマン』と内容を変え、スタッフも1年やって成長した。無から有を生むスタッフは学習能力が高くてすごいですよ」

 今まで語られなかったヒロインの胸の内も吐露した。

 「江戸川由利子とは何だったのか…と思うと、自分の生活背景とか含めて“由利ちゃん"だったんだと。生意気で、跳ねっ返りで、10代の女の子として『絶対にやり遂げる』という気持ちを内包していたから、役では言わないまでも、それが目に出ていましたね。アップにすると目力があって、言うことはちゃんと言う…みたいな。『ウルトラQの由利ちゃんが好き』という人が海外にも多くおられるので、私も愛着があります。最初の現場で遅刻しても怒られなかった(笑)。そこで怒られていたら萎縮してたと思うんですが、助かりました。みなさんのおかげで伸び伸びと由利ちゃんをやらせていただきました」

 円谷プロ初代社長の円谷英二(70年死去、享年68)監修の下、監督を務めた長男の円谷一(2代目社長、73年死去、享年41)が共に現場の士気を高めながら作品が制作された。桜井は「英二さんと一(はじめ)さん、金城さんとしっかり軸を、基礎を作られたと思います」と振り返り、「(執筆前に)一平ちゃん役の西條さんとお茶を飲みながら『私たち3人のことそろそろ書いとくね』と言ったら、『おう、分かった。よく書いとけよ』って(笑)。そういう私も80ですから、びっくりしますね」と笑みを浮かべた。

 同書は5日から横浜赤レンガ倉庫で開催される60周年イベントで先行発売され、6日には都内で桜井のトークイベントが行われる。傘寿で迎えた“ウルトラの夏”は終わらない。

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