米ニュージャージー州の住宅の屋根を突き破って落下した隕石に、地球外生命の誕生に必要な化学成分が含まれている可能性が明らかになった。
「ヒルズボロ」と名付けられたこの希少な隕石は、2024年7月、音速を超える超高速突入によって生じる衝撃波の爆発音(ソニックブーム)がニューヨーク市全域に轟いた後、時速3万2000マイル(時速約5万1000キロ、音速の約40倍)で地球の大気圏を突き抜け、住宅の寝室に激突した。
研究チームは現在、この手付かずの状態の隕石に、生命に不可欠な分子の生成に寄与した可能性のある「塩分を含む流体」の痕跡が含まれていると指摘している。
NASAエイムズ研究センターの隕石天文学者、ピーター・ジェニスケンス氏はこう述べている。「破片の科学捜査的な分析の結果、濃縮された塩分を含む流体にさらされていた小さな原始小惑星の、表面付近の断片が含まれていることが判明しました。これは、この種の原始惑星体においてはこれまで知られていなかったプロセスです。家主の迅速な対応のおかげで、我々が知る限り最も原型をとどめたCM1/2型隕石となりました」
CM1/2型隕石は、これまでに発見された中で最も希少かつ原始的な宇宙岩石の一つで、太陽系の誕生を伝えるタイムカプセルのような存在として知られる。ヒルズボロの標本は、目撃されたCM1/2型隕石の落下事例として史上2例目にあたり、これほど良好な状態で回収されたのは初めてのことだ。
9キロの隕石が天井を突き破った後、家主は使い捨て手袋とアルミホイルを用いて破片を丁寧に回収し、ガラス瓶に密封した。家主は当時の状況について、こう話す。「家にいて大きな衝突音を聞き、主寝室の天井に穴が開いているのを見つけました。強い硫黄のような臭いがし、ベッドやカーペット、周囲一帯を覆う黒い粉塵とともに、多くの黒い破片が見えたのです」
専門家によると、この隕石には炭素含有化合物、アミノ酸、その他の生命起源前の分子が含まれており、数十億年前に生命の構成要素がどのようにして初めて地球に到達したかを解明する手がかりとなる可能性があるという。研究チームは、この天体が火星と木星の間を周回する原始的な小惑星に由来すると考えている。
なお、破片の一部は今後、ニューヨークの「アメリカ自然史博物館」で保存される予定だ。同館のキュレーター、デントン・エベル氏は、「自然が私たちのすぐそばに、これほど貴重な小惑星のサンプルを届けてくれたことに感激しています」と語った。
この発見は、NASAの火星探査ミッションが火星で古代の有機分子を次々と発見し続けている最中にもたらされた。生命の化学的基盤が、これまで考えられていたよりも太陽系全体に広く存在しているかもしれないという、新たな期待を高めている。