自民党の河野太郎衆院議員が6日、自身のX(旧ツイッター)に長文を掲載し、日本の防衛装備品の輸出についての思いを明かした。
河野氏は安倍内閣で2019年9月から約1年間、防衛大臣を務めていた。「自衛隊の弾薬が足りず、当時の麻生太郎財務大臣に弾薬を買う予算をくださいと急遽、お願いに行ったことがあります」と回想。「麻生財務大臣は、『たまに撃つ、弾がないのが玉に瑕』といって予算をつけてくれました」と振り返った。
ただ当時、自衛隊の弾薬庫に、古く使えない弾薬が多く残っていたため、河野氏は「古い弾を演習で撃って」しまうことを提案。しかし、すでに銃器が新しいものに更新されていたため撃つこともできなかった。弾薬には当然、火薬が入っているため簡単には処理できず、古い弾薬がずっと保管されているような形だった。
弾薬がムダに保管されているだけの状況だったが「今年の初め。来日中のあるヨーロッパの国防大臣と食事をしていると、先方から、自衛隊の古い弾薬を、費用はいらないから、ぜひ、我が国に処理させてほしいという要望がありました」と渡りに船の申し出があった。申し出た国は弾薬をウクライナに提供する意向だった。
河野氏は「自衛隊は使えない弾薬の処理ができるし、ウクライナは少しでも弾薬を増やすことができるし、一挙両得だよね」と考え、防衛大臣につないだという。しかし「装備品輸出の五類型に当てはまらないからできないと却下され」た。日本の防衛装備品の輸出は「救難、輸送、警戒、監視、掃海」の5類型に限定されるというのが原則となっている。
弾薬については「実はこの話、他にもNATOの数カ国から問い合わせがありましたが、断らざるを得ませんでした」と複数の申し出があったことも告白。ウクライナを例に「今やどの国も自分だけで国を守ることはできません。共通の価値観を持つ国々でお互いに助け合って安全保障をやっていく時代が来ています」とした。
また、日本の防衛産業が「唯一のお客は自衛隊」となっている点にも言及。調達の数量が限られるため、単価が高くなっているとし「そろそろ五類型を見直して輸出することによって生産量を増やし、コストを下げ、防衛産業をきちんと育てながら、自衛隊の調達を根本から見直していく時期になりました」と持論を展開した。