茶道に興味はあるものの、「敷居が高そう」と感じている人は多いだろう。しかしそこまで堅苦しく考える必要はないようだ。そんな茶道の意外なやさしさを描いた漫画『食いしん坊のお茶会デビュー』(作・峯鳥子さん)がSNSで話題を集めている。
同作は、峯さんが京都で毎年開催されている創作和菓子の展覧会「京菓子展2025」を訪れた際のエピソードがもとになっている。会場では受賞作の和菓子とお茶をいただくことができ、色とりどりの和菓子がずらりと並ぶ光景に、峯さんは目を奪われてしまう。
お茶の時間になり案内されたのは本格的な茶室だった。もっとカジュアルな雰囲気かと思っていた峯さんは、緊張のあまり、つい「正客」の席に座ってしまう。
正客とは、亭主(お茶を点てる人)と直接やり取りをしたり、周囲に気を配ったりする客の代表のような立ち位置だ。自分のせいで茶会の進行が遅れていると焦る峯さんに、「あわてんでもええですよ」と亭主が笑顔で優しく声をかける。
次第にお茶の時間を楽しめるようになっていった。美しい和菓子と、おもてなしの心に触れた峯さんは、「とても愛しい時間」と感じたお茶会デビューとなったようだ。同作について作者の峯鳥子さんに話を聞いた。
ー同作を描くきっかけを教えてください。
茶道を習い始めて半年。おいしい和菓子をいただきたい一心で「京菓子展」を訪れました。「お茶会=失敗できない」と思い和菓子を味わう余裕を失ってしまった私でしたが、ご亭主がユーモアを交えて温かくもてなしてくださり緊張がほぐれました。その一期一会の体験が素敵だったので漫画にしました。
ー茶道を習われた理由は何だったのでしょうか?
和菓子好きが高じて、というのが一番の理由です。茶道を習えば色々な季節の和菓子を味わえると思ったからです。そして、樹木希林さんがお茶の先生役をされている「日日是好日」という映画が好きで、私も習ってみたいと思いました。
ー同作を通じて伝えたいメッセージがあれば教えてください。
茶道というと、覚えるべきルールが沢山あって「堅苦しい」というイメージがあるかもしれませんが、実際に習ってみて、そのルールは「相手への思いやり」から生まれているのだと分かってきました。
ご亭主はお客さんに心から楽しんでほしいと思っています。それを素直に受け取って楽しむことも大事。人付き合いで大切なことを「茶道」は教えてくれます。
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