郵便はがき代の値上げやコミュニケーションツールの進歩によって、近年は年賀状じまいが加速している。実際どれほどの人が年賀状を続けていて、やめた人は年始のあいさつをどうしているのか-。株式会社ソルトワークスはこのほど、全国の20代以上の男女304人を対象に「年始のあいさつや年賀状に関する意識調査」を実施、結果を公表した。
調査によると、これまで通りはがきの年賀状を出す人は全体の34.9%。デジタル派は49.0%ではがきを上回った。「新年のあいさつはしない」は12.2%だった。今も3人に1人が紙の年賀状を出していて、“年賀状じまい”をした人の大半がデジタル派へ移行していることが明らかになった。
年賀状派・デジタル派のそれぞれに、あいさつの相手として誰が最も多いかを聞いたところ、「友人・知人」と答えた人が紙の年賀状派では約半数、デジタル派では6割以上を占めた。「友人・知人」や「家族・親族」へ送る比率は紙の年賀状派とデジタル派でそれほど大きな差はなかったものの、紙の年賀状では「仕事関係者」に最も多く送っているという人が16%もいるのに対し、デジタルツールでのあいさつになるとわずか2.7%と、職場や取引先の人には昔ながらの年賀状を出し続けている人が一定数いると言える。
年始のあいさつを受け取る側として紙とデジタルのどちらが嬉しいかという質問をしたところ、年賀状派は「紙でのあいさつのほうが嬉しい」と答えた人が56.6%と半数以上にのぼり、“年賀状をもらうと嬉しいし自分も年賀状を出す”という思考の人が比較的多い結果となった。
一方でデジタル派は「デジタルでのあいさつの方がうれしい」と答えた人は45.2%に留まり、「どちらともいえない」と回答した人も44.6%と同じぐらいいた。デジタル派は、必ずしも“自分はデジタルであいさつするし、もらうのもデジタルが嬉しい”というわけではないようだ。
年始のあいさつをデジタルでする人の使用ツールは、「LINE」が86%と圧倒的で、「SNS」27%や「メール」21%などに大きな差をつけた。また、デジタルで新年あいさつをする主な理由は、9割以上が回答した「手軽さ」が1位、次いで「コスパの良さ」34%、「住所が不要」26%などが上位に挙がった。
新年のあいさつをデジタルでする人に、デジタルへの物足りなさを感じるか尋ねたところ、94%が「まったく感じない」または「あまり感じない」と回答、「やや感じる」はわずか6%で、多くの人が現状に満足している。
紙の年賀状の主な作成方法は、「パソコン用の年賀状作成ソフトを利用」が39%と最多、次いで「市販の既製品を購入」が22%、「オンラインサービス(Webサービスやアプリ)を使用」が20%と続いた。出す枚数は約半数が10枚以下となり、次いで約35%が「11~30枚」と回答。一昔前では当たり前だった100枚以上を出す人は1%にも満たず、年賀状を出す人の多くは“本当に送りたい人を厳選”していると言える。
年賀状派・デジタル派に関わらず、年始のあいさつや年賀状に対して思うことを聞いたところ、「もう不要な慣習だと思う(40代女性)」「デジタルの年賀状すらやめたい(40代男性)」「本当に親しい友人とは普段から連絡を取り合うので改めて新年にあいさつをする必要を感じなくなっている(50代女性)」といった、年始あいさつそのものへの疑問や否定的意見が少なからず見られた。
一方で、“大切な人にはきちんと新年のあいさつをしたい”と考える人は多く、「昔に比べて相手は少なくなったが、今送っている人にはこれからも送り続けたい(30代女性)」「メールで済ませることも増えたが、数年会っていない人にはハガキを出すようにしています(50代女性)」「大切な関係性であればあるほど紙の方が良い(40代男性)」といった声が寄せられた。