子どもの頃、自動販売機のボタンに手が届かなくて悔しい思いをしたことはないだろうか。漫画家のホンマジュンコさんがInstagramに投稿した『懐かしジュースいろいろ』では、昔の自販機とジュースをめぐる思い出が優しいタッチで描かれている。
同作は着物姿のおばあちゃんと小さな女の子が、昔の自販機の前でジュースを選ぶ場面から始まる。押しボタンが大きくて高く、子どもはどんなに手を伸ばしても届かない。また使用できるのは硬貨のみで、今となっては考えられない不便さだが当時を知る世代にとっては愛おしい記憶だろう。
懐かしいのは自販機だけではない。売られている商品も、プルタブ式のロング缶に入った『HI-C』や『スプライト』、ミニ缶の『シャッセ』など、今では珍しいジュースが登場する。
その他にもさまざまなジュースにまつわる当時の情景や体験もあわせて描かれており、読者からは、「子どもの頃の写真に『こつぶ』が写ってます!」「自販機のボタン、ジャンプして押してた」と、当時を思い出す声が多く集まった。そこで作者のホンマジュンコさんに、同作について話を聞いた。
―コメント欄で気になったジュースはありましたか?
『メローイエロー』は飲んだことがなかったので、どんな味だったのか気になりました。
―同作は実体験がもとになっているのでしょうか?
実体験と、「こうだったらよかったな」という妄想とが混ざった“セミフィクション“です。実際は祖母とは一緒に暮らしておらず、お盆やお正月しか一緒に過ごせなかったのですが、その少ない記憶や、私の母と私の娘たちとの“年の差ならでは“のやり取りなども作品に反映しています。
―「懐かしい日常」をテーマに描こうと思われたのはなぜですか?
祖母とは年の差もあり、先に旅立つのは自然なことだと頭ではわかっていたのに、大人になってもなかなか会いに行きませんでした。そんなある日、突然の別れが訪れて……当たり前にいてくれた大切な人の命にも必ず終わりが来るんだということを痛感し、深く後悔しました。
そこから「大切な人が元気なうちに、会いに行ってほしい。伝えたいことは“いつか”じゃなく今伝えてほしい」という思いを込めて『梅さんと小梅さん』を描いています。そのため「久しぶりに祖父母に会いに行きたいと思います」といった声をいただくと、本当に描いていてよかったと感じます。
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