本気の“勝負”に出た。吉野家ホールディングス(東京都中央区)はこのほど、牛丼、うどんに続く「第3の柱」と位置付けるラーメン事業の売上高を2024年度実績の80億円から29年度に5倍となる400億円まで引き上げるとの中期経営計画を発表した。営業利益は10倍の40億円を目指し、500店舗への拡大も掲げた。
ラーメン事業の売上高比率を同年度までに4%から13%へ拡大し、34年度にはラーメン提供食数で「世界一」を目指すとしている。
同社は昨年、ラーメンの麺・スープの製造会社である「宝産業株式会社」(京都市)、関西圏を中心にラーメン店「キラメキノトリ」を展開する「キラメキノ未来株式会社」を立て続けに買収し、子会社化した。投資を惜しまず、製造→販売の流通網を構築した。
株主総会(27日)を経て副社長に就任予定の小沢典裕常務は記者会見で「海外で日本食というと想起されるのが寿司の次にもう今はラーメンになっている」と指摘。計画実現には「M&A(合併・買収)を中心にして売り上げをつくっていくことが必要。量的な成長を考える上では、ある程度のサイズのM&Aも含めて国内外でしていきたい」と説明した。
社長に就任予定の成瀬哲也・アジア統括本部長は、国内でのラーメン事業は「まだまだ地域限定での出店で、この先ほかのエリアへどう拡大していくのかというチャンスの余地はまだまだある」と話した。
海外展開についても、宗教上の理由で特定の食材を食べられない事情などを挙げ「これを超えてどのように勝負していくか、どういう商材を提供していくかというのはまだまだチャンスがたくさんあると思っている」と見通しを述べた。