このほど高知市で高速バス、送迎バス事業を手がける高知駅前観光が、座席がフルフラットになる寝台バス「ソメイユ・プロフォン」を発表し、話題となった。
深夜バスといえば座席が狭く、長時間座り続けると辛いイメージだが、高知駅前観光が地元企業のサーマル工房、垣内と共に開発したのは、完全にフラットになる画期的な寝台バス。足を進行方向に向け、ベルトや転倒防止プレートなども設置した車両は安全性も確かで、国土交通省のガイドラインにも適合する。昼間は普通の座席として運行可能で、寝台への展開作業は乗務員2名で行うと5分程度で完了するそう。二段ベッドが並ぶ車内はまるでカプセルホテルのような雰囲気だ。高知駅前観光に詳しい話を聞いた。
ーー開発期間は?
担当:約30年前に弊社会長が中国で寝台バスに乗車した事がきっかけとなり、9年前に実際のアイデアが生まれ、前後シートを上下2段に展開出来るフルフラットシートを発案。2023年末にある程度は完成していたのですが、2024年11月の国交省ガイドライン発表に合わせ、2025年の1月30日に正式に発表しました。
ーー開発で困難だったことは?
担当:今まで製造業を主軸にしたことが無かったので、日々手探り状態で一から準備することに。しかし地元企業の方々に協力をいただいたことで開発が進み、メイドイン高知の寝台バスを発表することができました。
また今までにない形状のシートなので、車検の取得と、国交省のガイドラインの内容に沿った対策を同時に行わなければならず、とても大変でした。
ーー最もこだわった部分は?
担当:座席数です。上下2段にすることにより、通常の車両の座席数を、ほぼ減らすことなく運行が可能となります。それにより高速夜行バスのチケット代が高額になることもなく、バス会社側も増収が可能となります。
ーー今後の展望は?
担当:3月から高知と東京を結ぶモニター運行を開始します。お客様の声を踏まえ、さらに快適に過ごせるよう品質向上をしていきたいです。最終的にはバス業界への顧客拡大を目指したいと考えています。
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SNSでは「椅子と比べてかなり楽では」「他のルートもできてほしい」「下の段がいい」「スマホ落としちゃいそう」などの声が寄せられている。名称の「ソメイユ・プロフォン」とは、フランス語で熟睡のことだそう。ぐっすり眠って、目が覚めたら目的地に到着している、新たな移動スタイルとして普及するか。本格運行は2025年秋頃を予定しているそうだ。