女子プロレス・スターダム「ジャパンキャンピングカーショー2025 presents STARDOM DREAM QUEENDOM 2024」(12月29日、東京・両国国技館)の会見が17日、都内で行われた。ヒール軍団「H.A.T.E.(ヘイト)」を率いる刀羅ナツコは、一騎打ちを行う舞華を痛めつけ先制に成功。その根底にある〝令和の極悪女王〟への決意を聞いた。
会見で巨大な扇子を手に現れた舞華から「もう見て分かるやろ。お前の望み通り、この試合ノーDQでやろうよ」と突きつけられ、刀羅は「この何日かかけてお前が出した答えがそれなら仕方ねえから、やってやるよ。とことんな」と受諾。反則裁定なし、凶器の使用OKの同ルール採用が決まった。
受け入れるだけで終わるはずもなく、刀羅はフォトセッション後に鉄パイプを持ち出し、舞華を急襲。殺陣のような攻防ではダメージを負うも、最後は相手を持ち上げ、ボディースラムでテーブルごと破壊。舞華の髪をつかみ「やるなら死ぬ気でこい!」と吐き捨てた。
会見後の刀羅を直撃すると、「今まではこっちが相手を選んで突っかかっていったが、今回は舞華がケンカを売ってきた。生意気だと思った。常に相手を見下してきたので、そんな気持ちを舞華に持たれていたら…と思うと腹が立ってね」と心境を明かした。
発端は11・11後楽園大会のタッグリーグ戦で苦杯を喫した後、舞華から「プロレス人生最大の恥をかかせてやる」と宣告されたこと。「何をしてくるか、と思ったら何もない。自分は先に宣告してやるかやられるか、というスタンス。ケンカを売っておいて、何も動いてこない。そんな何をしたいのか分からないレスラーが大嫌いなんだ」と説明。リーグ戦終了後の地方大会で、舞華を揺さぶり続け、ノーDQ戦への流れをつくった。
7・28札幌大会ではワールド王者・舞華を破り、同王座初戴冠と上谷沙弥の引き抜きに成功。大江戸隊から「H.A.T.E.」へと極悪軍団を発展させた。一方で、「大江戸隊とメンバー、やっていることが変わらないと言われるのを払拭しなきゃいけない。それは、リーダーの自分が率先してやる必要がある。生ぬるい、なんて声も聞こえてくる」と課題を自覚する。だからこそ「大江戸隊とH.A.T.E.は違う、というのを今年中に示すには、舞華はちょうどいい相手」と闘志を燃やした。
課題の一方、追い風もあった。9月にネットフリックスで配信され、女子プロレスを題材にしたドラマ「極悪女王」が大ヒット。主人公のモチーフとなった昭和の極悪レスラー、ダンプ松本が脚光を浴びた。
刀羅は昨年からダンプとは度々タッグを組む。10人タッグで共闘した10・27後楽園大会のバックステージでは「オレはナツコを応援してる。ナツコを昔のオレみたいにしたいんだよ」と、〝令和の極悪女王〟として後継指名を受けた。「『極悪女王』の流れで、一緒になる機会が増えたし、ダンプさんから『オレはナツコを後継者にしたい』と言ってもらえた。その言葉はうれしかったし、ここまでたどり着けた、という気持ちにもなった」。19年のヒールターン後の歩みを踏まえ、感慨を口にした。
ただ、これで満足する刀羅ではない。「ダンプさんの言葉はうれしいし、糧になっているけれど、どんな形でも超えなくてはならない」とキッパリ。今年から他団体との交流に積極的なスターダムの方針を歓迎し「他と関わらないスタンスはもう古い。井の中の蛙だって笑われるだけだから。名前も顔も売って、女子プロレスのヒールといえばH.A.T.E.になるようにね」と意気込む。センダイガールズに続き、シードリング12・27後楽園大会に出撃予定。悪のテリトリーを広げていく。
「プロレスを広めていくのは、ベビーだけじゃないと思ってるんで。その気持ちが強い」
そう信念を語った刀羅。〝令和の極悪女王〟がさらに飛躍するため、実力者の舞華を倒し、来年への弾みをつけるつもりだ。