東京を中心とした首都圏と大阪を中心とした関西圏。昔からなにかと比較されがちな日本の大都市圏だ。今、SNS上で話題になっているのはそんな首都圏と関西圏の文化資本の比較。
きっかけになったのは
「少し前に東京の文化資本が云々という話が出たが、何を文化資本と見做すかはさて置き、比較可能なもので首都圏と関西圏を比較するとこんな感じ。
<百貨店売上高>
東京:1.6兆円
大阪:0.8兆円
<テーマパーク来園客>
TDR:2,750万人
USJ:1,600万人
首都圏2に対し関西圏1だ。」
とするpom@department_storeさん(@pomdepartments1)の投稿。
文化資本とは社会学の用語で、金銭によるもの以外の学歴や文化的素養といった個人的資産を指す。その多寡は各人が属する社会的階層によってあらかじめ決定づけられ、格差を生み出していく要因になるとされているのだ。pomさんに話を聞いた。
--この数値の出典は?
pom:百貨店売上高については、各社決算資料や公式ホームページ等から参照しております。テーマパークの入場者数については、日経新聞でUSJの入場者数が世界第3位になったという記事(※2024年8月16日付『USJ、来園客3割増で世界3位 米ディズニー超え視野』)があり、その数値を参照しております。
--この比較を思い付かれた経緯は?
pom:元となった別の方のポストで、文化資本は東京が圧倒的に強いというような趣旨の話をされていて、実際にどの程度の差があるのか、定量的に比較出来る対象で比較しようと思いました。
その方は、どちらかと言えば「物質的な豊かさ」や「体験価値」のようなものに軸足を置かれていたので、これの最たるものである百貨店やテーマパークで比較した次第です。
結果としては、関西圏は首都圏の半分程度の数値となっていて、少なくとも関西圏は人口相応にこうしたものが十分揃っているという結果が分かりました。
正直なところ、当たり前の結果が出てしまったので、今後はどこまでの都市規模であればこうした文化資本(?)が保持されるのかは調べてみたいですね。名古屋まではちゃんとあるのか?福岡までか?それより小さな都市だとどうかとかですね。
--投稿の反響へのご感想を。
pom:批判的なご意見も多数頂いていて、そもそも百貨店やテーマパークは文化資本ではないというご意見は多かったです。私もこれは理解出来ますが、文化資本が何たるかという議論は結論が出ないものだと思いますので、人それぞれの捉え方が合っても良いのかなと思います。
また、関西圏には国宝建築物が多いというご意見も頂戴しました。関西圏は歴史が深く、歴史的背景を持つ文化資本は多数存在しています。この国宝建築物の数で首都圏と比較されている方がいて、なるほどそういう比べ方も有るなと感心しました。
今後は色々な側面から、比較していけると良いなと思います。
◇ ◇
文化資本はまだまだ一般に浸透している価値観とは言いがたい。またけっして経済=文化資本ではないので数値化が難しいのだが、地域によって格差が生じているのは確か。その点でpomさんの投稿は多くの人に気付きを与えるきっかけになったと言えるだろう。読者のみなさんはお住まいの地域の文化資本をどのように感じるだろうか?
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