昨今ではパソコンが発売開始になった時に行列ができることは少ないだろうが、約30年前までさかのぼると、社会現象になるほど人気を集めたパソコンがあった。1998年7月25日にWindows98の日本語版が発売された際には、販売店に深夜0時から買いたいお客さんが殺到したほどだ。
当時としては画期的だったものの、今のWindows11とは大きく異なり快適に使うにはさまざまな工夫が必要だった。そんなWindows98のあるあるを、発売当時に自作パソコンを作るなど周囲からパソコンオタクと呼ばれていたAさんに話を聞いた。
まずは代表的なあるある「起動時間の長さにイライラ」だ。Windows11は電源を入れてからパソコンが起動するまで、それほど時間はかからない。一方でWindows98は電源を入れてから、使用できるまでかなりの時間を要した。
「出社したらパソコンの電源を入れて、それからコーヒーを飲んでから仕事をスタートしていました。パソコンが起動するまでコーヒーが飲めるくらいの時間がかかっていたんです(Aさん)」
電源を入れてからそれほど時間がかかるとは、パソコンのスペックが向上した現代では考えられない景色だ。
次のあるあるは「予期せぬフリーズとの闘い」だ。今でこそ安定して動作するWindowsだが、Windows98は安定性に欠けるOSだった。
「突然パソコンがフリーズして強制終了を余儀なくされることが頻繁に発生していました」(Aさん)
作業中にアプリケーションが応答しなくなったり、ブルースクリーンが表示されたりすることは珍しくなかった。文書作成中にパソコンがフリーズして、約2時間おこなっていた作業データが水の泡になってしまうことも…。この経験からこまめに作業データを保存する癖が身についた人も多いだろう。
また、今となっては懐かしい「フロッピーディスクの存在感」もWindows98あるあるとして忘れられない。
「フロッピーディスクなしでは生きていけませんでした。1.44MBの容量制限と格闘しながらファイルを分割して保存したものです」(Aさん)
現代のパソコンでは見かけなくなったフロッピーディスク。インターネットの普及もまだまだでUSBメモリも登場していない時期だったため、データを持ち運びするにはフロッピーディスクを使うしかなかった。
画像など容量の大きなファイルをコピーするには、フロッピーディスクを何枚にも分けて保存しなければならなかった。
このように、Windows98に対して思い出を持っている人は多いのではないだろうか。Windows98のパソコンならではの特徴や癖は、現代のパソコン環境からは想像もつかないものが多い。しかし、これらの苦い経験が今日のIT技術の進歩につながっているのだろう。
ぜひこの記事をきっかけに、あなたならではのWindows98あるあるを振り返ってみてほしい。