“アニソンの女王”堀江美都子「ボルテスV」フィリピンでの逸話、“アニキ”水木一郎さんへの思い語る

よろず~ニュース編集部 よろず~ニュース編集部
映画「ボルテスV レガシー」のジャパンプレミアでボルトインポーズを決める(左から)白倉伸一郎氏、堀江美都子、ミレーン・J・ガルシア=アルバノ駐日フィリピン大使
映画「ボルテスV レガシー」のジャパンプレミアでボルトインポーズを決める(左から)白倉伸一郎氏、堀江美都子、ミレーン・J・ガルシア=アルバノ駐日フィリピン大使

 1977年から放送されたテレビアニメ「超電磁マシーン ボルテスV」がフィリピンで実写化された映画「ボルテスV レガシー」(マーク A. レイエス V監督、10月18日公開)のジャパンプレミアが29日、都内で開催され、舞台挨拶で声優・歌手の堀江美都子が登場。自身が担当したフィリピンで絶大な人気を誇る主題歌「ボルテスVの歌」を生歌唱し、フィリピンでの逸話、故・水木一郎さんとの思い出を語った。

 赤いジャケットに赤いホットパンツ、大きく「V」があしらわれたブーツの特別衣装で登場した堀江。さっそく「ボルテスVの歌」を歌唱。劇場に集まった「ボルテスV」ファンたちから手拍子と歓声、そして割れんばかりの拍手を受け、「皆さんと一緒に一体感を持って歌えることは幸せだなと思いました。最高でした!」と感激を口にした。

 堀江は日本語吹き替え版ではアームストロング兄弟の母役を担当。「最初母役と聞いて、気軽にお受けしたら、脚本を読んで、母であり、科学者であり、戦闘機のパイロットであり、そして最後には死んでしまうという…。どんな母?と思いました。台本が来てからビビりましたし、収録はすっごい緊張しました」と振り返った。

 トークセッションでは、本作のエグゼクティブ・プロデューサーである白倉伸一郎氏も登壇。堀江が「自分の吹替の演技が気になってしまいますが…(笑)。すごいリスペクトされていて、いいところがしっかりまとまっていて素晴らしいです。フィリピンの歌手の方に歌っていただいた主題歌『ボルテスVの歌』もすごく研究してくださったみたいで、日本語もお上手ですし歌い方も研究して歌ってくださったみたいで、嬉しいです」と語った。白倉はフィリピンで映像化されたいきさつを「僕もよくわからないんですよね」と言い「フィリピンで大人気とは聞いていたのですが、実写版で放送されると聞いたときは嘘だと思いました。そのあと、フィリピンからパイロット映像が届いたときは、ほぼほぼ完成作に近いようなすごいものが来て、『バカなの!?』と(笑)。CGからデザインまで本気中の本気すぎて驚きました」と明かした。

 アニメ「ボルテスV」に関するイベントでフィリピンに複数回訪問しているという堀江。国賓扱いであるという噂については、「国賓というほどではありませんが…。ある程度のVIP待遇で、空港はオールフリーパスでした。空港から車で出ると、白バイが先導してくれたりして…私は車に乗りながら『すみません』という気持ちでした」と現地の熱狂ぶりを回想。フィリピンでの1時間のコンサートは「ずっと「ボルテスVの歌」なんです。みんな『ボルテス!ボルテス!』とコールがやまなくて笑。ずっと『ボルテスVの歌』を歌い続けました」と圧倒的な人気を振り返った。

 放送当時は女性歌手によるロボットアニメソングは珍しかったという。オファーされた際の心境について「ロボットアニメを歌いたくてしょうがなかったんです。お年頃だったので、かっこいいなあとあこがれていて。歌えて本当にうれしかったです」と語った。

 また、公開に際した企画で故・水木一郎氏が歌っていた原作アニメのエンディングテーマ「父をもとめて」のカバーを堀江が担当。「水木さんとはよく同じ壇上で歌いましたが、今回のレコーディングはその延長のようでした。当日はアニキが来てくれたような気がしていて、歌った後には『やるよ、この曲』と言ってくれているような気がしました。ずっと一緒に歌ってきた仲間で、アニメソングが冷遇されていた時代もありましたけど、お互いに励ましあって、子供たちに誠実に誇りをもって歌っていこうという話をしていたので、兄であり同志ですね」と感慨にふけった。約半世紀歌い続けた「ボルテスVの歌」に対し「私が歌い続ける限り歌う曲なんだと、覚悟を決めました。一生一緒にいる、という思いです」と決意を口にした。

 「ボルテスV」の魅力とは。白倉氏は「非の打ち所がなく、どこが魅力かと聞かれてもわからないくらいです。ほかにもたくさんロボットアニメはありますが、改めてこうやってアニメを見直してみると、ものすごくよくできている。デザインもそうですし、敵キャラも含めて人間関係がすごく洗練されている名作だと思います。もう一度その価値に光が当たるのはうれしいことですし、自分自身も再発見できたかなと思います」と返答。白倉氏が深く関わるスーパー戦隊シリーズの元祖であると持論を続けた。

 堀江は「フィリピンの方が50年近くピュアに愛し続けられるのはなぜなんだろうと思って。フィリピンの方の国民性もあると思いますが、やっぱりストーリーで描かれる家族愛というのが大きくて、より心に響くのかなと思います。日本にはたくさんの作品があるから、いろんな作品に目移りしてしまうけれど、この機会に『ボルテスV レガシー』、そして『超電磁マシーン ボルテスV』をいろんな方に楽しんでいただけたらいいなと思います」と語った。

 ここで、製作国であるフィリピンを代表して、ミレーン・J・ガルシア=アルバノ駐日フィリピン大使がゲストとして登場。アルバノ大使は「『ボルテスV レガシー』の日本での初上映に立ち会えて光栄です。私は愛されたこのアニメに魅了され育ちました。今一緒にいる私の大使館の職員を含め、多くのフィリピン人にとって特別な存在であることはよく知っています。元々日本で制作されたこのボルテス V は単なるテレビ番組以上のものとなり、フィリピンで文化現象となりました」とあいさつ。ボルトインのポーズをバッチリと決め、その言葉が飾りではないことを物語った。

 フォトセッションでは堀江の「レッツ・ボルトイン!」という掛け声とともに3人がポーズを披露。会場の至るところから掛け声が起こり、その愛を感じる瞬間となった。最後に堀江が「ぜひみなさんで盛り上げていただきたいと思います。また公開しましたらご覧ください!」と締めくくり、大きな拍手に包まれて舞台挨拶が幕を下ろした。

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