全仏オープンで歴代最多14回優勝、グランドスラムでも歴代第2位の22回優勝を誇るプロテニス選手、ラファエル・ナダル(スペイン、38歳)の現役引退が近づいている。パリ五輪のダブルスで準々決勝敗退して以降、USオープン、団体戦のレーバーカップと連続して欠場しており、次なる大会出場の目処が立っていないのだ。
現状は腰の異常など度重なる故障から最近2年は本調子には程遠い状態にあり、2005年から15年以上10位以内を維持していた世界ランキングでも現在は154位まで順位を落としている。
ナダルの出身地で活動拠点でもあるマジョルカ(スペイン)の公共テレビ局IB3で長年同選手を取材しているマルタ・ガルシア記者は「彼は今、テニスなしの生活について考えているのではないか。単に大会に参加して負けても良いのなら現役続行はできる。でも勝利に執念を見せる彼の性格がそれに納得するとは思えない。11月にマラガで(国別対抗の)デビス杯があるから母国で有終の美を飾る場になるかもしれない」とみている。
もっともコート外での活躍は10年以上前から始まっている。2013年から観光業界に参入し、ホテルやレストラン運営に関わり、不動産や他企業への投資も。独自のアパレルブランドや、夫人と香水ブランドも立ち上げている。以上は主にビジネスパートナーがいて運営会社の株保有や名義的な参加だとされる。本業のテニスでは地元に約8万平方メートルの敷地を誇るテニスアカデミーを運営。世界中の若手有望選手を集めて強化を図っている。
これらの実績から一般紙調査による純資産は3億1000万ユーロ(約494億7000万円、2024年2月現在)、スペインで198番目の資産家にランキングされている。
一時代を築いたスポーツ選手の将来について、事業家としての成功と、自他ともに認める熱狂的なファンであることから「将来のレアル・マドリードの会長」との声も出ている。これはラジオ番組でのインタビューで冗談混じりに受け答えしたことが発端。本人としては否定する必要もなく答えた言葉が思いがけず世間に取り上げられ、一人歩きして波紋を広げた。これも高い人気と知名度を誇るゆえの影響力から起きたこと。今の段階では現実味が高い話ではないが、将来に何が起こるかは誰にも分からない。実現するかどうかは神のみぞ知るというところだ。