〝日本最恐〟の心霊スポット「旧犬鳴トンネル」での不思議体験、探検家が証言 悲惨な事件や事故も多発

北村 泰介 北村 泰介
画像はイメージです(DZMITRY/stock.adobe.com)
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 〝日本最恐の心霊スポット〟と称される福岡県の犬鳴峠。その地にある「旧犬鳴トンネル」は昭和の終わりに起きた悲惨な事件の現場となり、また近年の映画化などもあって、さまざまな都市伝説が交錯している。地元出身で7月に新刊「アジアの心霊スポット100選」(東京キララ社)を世に出した心霊探検家・怪談作家の濱幸成氏(34)がよろず~ニュースの取材に対し、現地での実体験と現状を語った。

 廃トンネル内での「幽霊」目撃談をはじめ、地図には存在しない「犬鳴村」という集落が近くにあり、侵入すると村人に襲撃されるといった伝説も残る。「呪怨」シリーズで知られる清水崇監督の映画「犬鳴村」(2020年公開)のモデルになったこともあり、全国からマニアが訪れるようになった。

 国内外1200か所以上の心霊スポットを取材した濱氏は14年前に初訪問して以来、何度も足を運んだ。昨年8月に出版された著書「福岡怪談」(竹書房)でも当地について記している。「僕は現実主義。『霊』はいると思っていますが、『あそこには何々の霊が…』と話を盛ってエンターテインメントにするのは好きじゃない」。そう語る濱氏でも〝別格〟の場所だった。

 「初めて行ったのは20歳の時で、その後も数回行きました。こんなことがありました。トンネルの中に男3人で入り、僕の友人が犬鳴峠で体験した怪談を話して動画をトンネル内で撮影しようということになって、カメラの三脚を立てて準備している時に、『イィーーーー』いう女の人の悲鳴がトンネルの中で聞こえてきたんです。『キャー』じゃなくて、『イィー』なんですよ。トンネルの中にいたのは僕らだけ。あり得ない声だったので、怖くてすぐにトンネルを出ました。全国で回った心霊スポットの中でもトップクラスで怖い印象があります」

 さらに、濱氏は「その場所でリンチ殺人事件があったんですよ」と補足した。

 1988年12月、主犯格の19歳少年ら未成年の5人グループが福岡県内で20歳の男性から乗用車を強奪して監禁。せい惨なリンチを加えた末に旧犬鳴トンネル内に運び、手足を縛った状態でガソリンをかけて焼殺した事件だ。ほぼ同時期に発生した女子高生コンクリート詰め殺人事件(東京)と共に、少年グループによる凶悪事件として日本の犯罪史に記録されている。

 2000年には近くの犬鳴ダムで白骨化した女性の死体遺棄事件があり、01年には犬鳴峠に車で肝試しにいった少年5人が帰り道でトラックと衝突し、うち4人が死亡、1人が重体となる事故が発生。92年にも肝試しからの帰り道で少年の死亡事故があった。現実の事件や事故が重なることで〝最恐〟というイメージを増幅させてきた。

 「それ以前から心霊スポットだったんですけど、事件によって余計にそう扱われるようになった。僕の友人もここで記念写真を撮った際、『首に真っ赤な線』が写っており、その後にバイク事故に遭って首が真っ赤に腫れ上がった。僕の体験としては、トンネルに向かう途中、道の脇で首を吊った後の輪っかになったネクタイが木の枝にぶら下がっているのを発見したことがありました。警察が遺体だけを持って行って、ネクタイはそのままにして置いていったんだと思います。自殺の場合は証拠品などがないので、ロープなどを回収しないことがある。(富士の青木ヶ原)樹海にもある光景です」

 濱氏がそう振り返った同地は現在、封鎖されている。

 「あまりにも押しかけてくる人が多くなり、特に暴走族によるトラブルが多くなって、10年ほど前に旧トンネルへと続く旧道の途中にフェンスが設置され、車は旧トンネルまで行くことができなくなりました。事故防止という意味もありますが、それよりも、暴走族の人らが肝試しに行って『俺は怖くないぞ』というアピールでその場を破壊したり、火を付けたりするからです。映画化の後は余計に人が来るようになって、監視カメラが付けられ、今は警備が厳重になっています。昔、車が途中まで入れた旧道も、旧道入り口にフェンスが設置されて入ることができなくなっている。歩行者もカメラで監視されているような状況です」(濱氏)

 〝日本最恐〟の地は封印状態のまま今も残されている。

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