社会人の情熱がリングで爆発「有給プロレス」〝聖地〟後楽園ホールを満員に「5~10年後には両国に」

山本 鋼平 山本 鋼平
大会を終えて達成感に満ちた表情のきしだくん(中央)ら「有給プロレス」出場選手、スタッフ
大会を終えて達成感に満ちた表情のきしだくん(中央)ら「有給プロレス」出場選手、スタッフ

 岸田代表もSE時代、現職のコンサルタント業で培った経験が生きた。「レスラーだけでなく、社会人としてもしっかりやってきましたから。精神的にきついコンサルタントとして、課題を克服するためのツールは使えたと思います」と、うなずいた。他の仲間も多種多様な仕事で培った〝武器〟を持っており、多くの場面で役立っていることは、学生時代とは異なるところだという。「学生時代は向こう見ずなところがありましたが、今は日常生活に支障が出ないように気をつけています」と精神的に成熟した点も、学生プロレスとの違いだろう。

 岸田代表は妻と二人暮らし。「彼女は学生時代にミュージカルをやっていたので、僕のプロレスも応援してくれています。友人を連れて会場に来てくれることも。楽しんでいるから理解してくれているんだと思います」と感謝の思いを抱く。

 岸田代表は社会人プロレスでは、対戦相手にビジネスマナーを呼びかけ、対話を重ねながら戦うスタイルを確立してきた。しかし後楽園大会当日に、地声では後方席には届かないことが判明。「第1試合から見ていて、予想以上に声が通っていなかった。直前まで龍角散をなめて準備して、いつも以上に大きな声で話したのですが…」。この点は次回への課題に残ったようだ。また、激しいチョップ合戦を繰り広げたため「(試合で)胸を真っ赤にして帰宅したので、心配をかけてしまいました」と、妻への反省も口にした。

 社会人プロレスの魅力を「中肉中背の社会人がプロレスをするところ。プロレスラーは異次元にスゴイですが、我々のような者がすごい試合をすることで、プロレスの間口が広がる」と語った岸田代表。「引退ではありませんが、この日で一線を引こうかと思っていました」と大会前の心境を告白しつつ「あれだけのお客さんの前に立てて楽しかった。まだまだやりますよ!」と撤回。現在は諸問題で消滅してしまった学生プロレスサミットの社会人版を思い描く。「球児にとっての甲子園のように、1年に1回は社会人プロレスを後楽園で開催して、目標となる大会をつくりたい。5~10年後には両国国技館で開催したいですね」と夢を語っていた。

 ◆有給プロレス(6月28日、後楽園ホール)▶第1試合タッグマッチ ホテルニューハーフオオタニ(繊維製造業)&フェラナンテドーデス(テレビ局・記者)―三村マザファッカズ(整体・リラクゼーションズ)&BRA-VO(飲食店向け総合支援事業) ▶第2試合タッグバトルロイヤル 抹茶どらごん(造園・設計)&オカルト大魔王(印刷・アパレルデザイナー)―YMD(食品・飲料品質管理)&レイザーラモンHG(お笑い芸人)―KENNY(建設用設備資材販売)&グレート-GO-カーン(リース営業)―立ちション・クレイジー(古紙卸売)&テントハリゾー(マーケティングサービス・ディレクター)―軍団ひとり(不動産資産管理)&ヌレヨンちんちゃん(コンサルタント)―Daisuke(テーマパーク運営)&スゴイよ!!マラルさん(心療内科・相談援助)―オリラブ(スーパーマーケット・庶務)&笹村あやめ(プロレスラー) ▶第3試合タッグマッチ オルカ宇藤(プロレスラー)&最上九(プロレスラー)―タケダリュウノスケ(オアーソナルジム)&ハス向井理(出版社) ▶4試合シングルマッチ ヘルデカイ(エンタメ・プロモーション)―喰霊斗たむ(建築用材料・営業兼施行管理) ▶第5試合タッグ3wayマッチ クズ・ハヤシ(外資系テック・広告営業)&Mr.Money(電子書籍・サービス管理)―ディック・ズレーター(清掃業作業員)&DMP(アパレル・企画)―クスリ松村(飲食店スタッフ)&太くて固いの星ぃ野勘九郎(お笑い芸人) ▶セミファイナル・シングルマッチ 大谷譲二(プロレスラー)―佐々木コンプリートJr.(研究職) ▶メイン・タッグマッチ アスカ・ザ・ワールド(不動産営業職)&きしだくん(コンサルタント)―児ーポ監督(精肉マネジャー)&ハミ・TⅡ・ジロー(専門商社営業)

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