小説家・京極夏彦氏の最新作「了巷説百物語(おわりのこうせつひゃくものがたり)」(KADOKAWA)が19日から発売された。実は同小説、校了(校正作業が完了、印刷・製本の工程に移れる状態)から実際に発売されるまで、かなりの時間を費やしたという。「KADOKAWA文芸編集部」公式Xが明かした、その理由がSNSで話題を呼んでいる。
この小説は京極氏の代表作で、妖怪時代小説の金字塔「巷説百物語」シリーズの完結巻。シリーズに登場した化け物遣いたちが、最大にして最後の大仕事に挑む。同公式Xは発売前日の18日、「実は校了したのは4月中旬でした」と校了から発売までに2カ月の時間を要したことを告白した。
よろず~ニュースが同社の担当者に取材したところによると、一般的な単行本では校了から発売に約1カ月を要するという。つまり、同小説では2倍も時間がかかったことになる。
その理由について、公式Xでは「(本が)厚すぎて一部機械での製本ができず、カバー帯はぜんぶ手巻きだったからです」と記されている。小説のページ数は驚異の1152ページ。その結果、重さは1.02キロ(一般的な単行本の3冊分)に及ぶ。
前出の担当者によると、「(同社が刊行した)小説の単行本では、近年は手巻きは無かったように記憶しています」。まさに人気シリーズの完結にふさわしい、規格外のボリュームとなっている。
SNSでは「厚すぎて機械で製本できなかった!?」「伝説の手巻き」「書店寄ったんで本物見てきた スゴい 読書が筋トレレベル」「製本所さん本当すごい」「京極本はこうじゃなきゃ」「それでこそ京極夏彦先生の書籍」などの声が寄せられている。
京極氏は1994年に「姑獲鳥の夏」で小説家デビューし、2024年に30周年を迎えた。それを記念したYouTubeチャンネル「京極夏彦30thAnniversary」では全刊行作品のPVも公開中。PVは全て京極氏が自ら動画編集をしている。