HYBE(ハイブ)とその傘下レーベルアドア(ADOR)の内紛が4月から続くなか30日、韓国メディアはアドアのミン・ヒジン代表が申し立てた、HYBEによる臨時株主総会の「議決権行使を阻止」仮処分申請を、裁判所が認めたと報じた。これにより、ミン代表はひとまず職を維持することができる。
ソウル中央地方裁判所民事合議50部(キム・サンフン首席部長判事)はこの日、ミン代表がHYBEを相手に出した議決権行使禁止仮処分を認め、HYBEがこれを違反した場合、200億ウォン(約20億円)を賠償しなければならないと定めた。
裁判所は「HYBEに解任・辞任事由の存在を訴える責任があるが、現在までに提出された主張と資料だけでは、その事由が十分に訴えられていないと判断した」と説明。また「ミン代表に、そのような事由が存在するかどうかは、本案で忠実な証拠調査と綿密な審理を経て、判断する必要がある」と明かす。
続けて「本件の株主総会開催が迫っており、ミン代表が本案訴訟で権利救済を受けることが難しい点、残存期間中、アドア取締役として職務を全うする機会を喪失する損害は、事後的な金銭的賠償では回復が厳しい損害である点などを考慮した」とした。
裁判所は、ミン代表がNewJeansを連れてHYBEの支配範囲を逸脱したり、HYBEに圧力をかけてアドアの持分を売却させたりするなどの方法で、アドアを独立的に支配することができる方法を模索したことは「明らか」だと判断。しかし〝模索〟を超えて、具体的に実行段階に入っていたとみるのは難しく、たとえそれが〝裏切り行為〟だったとしても、アドアに対してそれを〝背任行為〟とするには難しいとみている。
またミン代表が、HYBE傘下レーベルからデビューしたILLIT(アイリット)を「NewJeansを盗作した」と疑惑を提起したことについては「ILLITのデビューを前後して、世間ではコンセプト、ダンス、衣装などが似ているという意見が浮上したため、ミン代表としては、アドアのコア資産であるNewJeansの価値を守るための必要な措置を取り、忠実義務を負った」とし、背任行為とはみなされないと判断した。
その上で、「アドアの営業実績などを考慮すると、HYBEが主張する事情だけでは、ミン代表の業務遂行を禁止するような、重大な欠格事由があると見るのは難しい」と伝えた。
こうして、31日に予定されているアドアの臨時株主総会を直前に、ミン代表は一旦その座を守ることができた。
これに先立ち、HYBEは傘下レーベルであるアドアに対して「経営権乗っ取り疑惑」を理由に、ミン代表をはじめとするアドアの現経営陣の交代を推進していた。