ドジャースの大谷翔平選手の銀行口座から約1700万ドル(約27億円)を不正送金した銀行詐欺と税金の虚偽申告で訴追されている元通訳、水原一平被告が14日(日本時間15日)、ロサンゼルスの連邦裁判所で行われた罪状認否で形式的に“無罪”を主張した。同被告はすでに検察との司法取引で有罪を認めているため、次回の罪状認否で有罪を認める見込みとなっている。
初出廷の4月12日以来となる公の場だが、前回は法廷以外で一切姿をみせておらず、報道カメラが水原被告の姿をとらえるのは、3月20日の韓国での開幕戦以来56日ぶりとなった。生気のない、うつろな目が印象的だった。約50人の日米報道陣に取り囲まれた水原被告は無表情のまま、口を真一文字に結び、まっすぐを見据えて歩いた。法廷を出て黒塗りのバンに乗り込むまでの7分間、日本語と英語による質問に無言を貫き続けた。
事件発覚後としては初の姿に、SNSなどでは「見た目は案外変わってない」、「やつれた様子はないな」、「耳の上当たりが部分的に白髪に」、「白髪増えたみたいやね」「体調は崩してなさそうで安心した」、「ふてぶてしくみえる」との声があがっていた。
司法省の発表によると、同被告は銀行詐欺のほか、虚偽の納税申告書を提出した容疑でも有罪を認める方針。410万ドル(約6億3500万円)の申告漏れ所得があったという。両罪での最高刑は懲役33年と罰金125万ドル(約2億円)となるが、この司法取引により、検察は減刑を勧告する見込みとなっている。また、大谷に対して被害額の1700万ドル(約26億円)全額を賠償する義務を負うほか、約115万ドル(約1億7000万円)の追徴課税を支払う必要がある。
法廷で行われた罪状認否はわずか4分で終わった。上下黒のスーツとノータイの白いシャツをまとった同被告は、ジーン・ローゼンブルース裁判官から名前の発音の確認や司法取引で有罪を認めたことなど、6つの質問に対し、「THAT’S RIGHT」、「YES, I DID」、「YES, MADAM」などと返答。最後の自身の罪に関する問いかけには「NOT GUILTY」と、形式的に無罪を主張し、有罪答弁を避けた。