矛盾してない⁉人材派遣会社がAI事業を本格推進 30歳社長の見据える未来「シナジー効果があるんです」

杉田 康人 杉田 康人
画像はイメージです(top images/stock.adobe.com)
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 人工知能(AI)事業を積極的に手がける人材派遣会社がある。ITエンジニア派遣のイノベイティア(東京都渋谷区)が、AIコンサルティングの分野に進出。人を派遣することを生業にしている会社が、なぜ業務を省人化するAI事業を推し進めるのか。代表取締役社長の中畑貴耀(きよう)氏(30)に聞いた。

  「逆に見えて親和性があるというか、シナジー(相乗効果)があると僕は考えているんです」

  中畑氏は全国指折りの営業成績を残した日興証券や資産運用会社を経て、2023年4月にイノベイティアの代表取締役に就任。「ちょっと伸び悩んでいるんだよね」と相談を受けた同社のオーナーから誘いを受け、未知の人材派遣業界に身を投じた。

 「今まではお金を動かすやったけど、人を動かす。人と結構関われる。全然真逆。面白そうだな…。熱い人間だとよく言われるんですけど、ここやったら生かせるかなと思って入ったんですけど。ちょっとめっちゃ古い業界やなと思いました。まだこんな効率の悪いフローでやってんのか?」と、がく然としたという。

 AIのツールを仕入れる「AIサービスのコンサルティング業」を、24年からスタートした。AIツールを手がける企業約40社と代理店契約を結んでいるといい「世の中にはAIツールが山盛りありますよね。どれが良くてどれが悪いか。どれが高くて、どこが安いかとか。うちは全部比較して、コンサルティングをします。AI商社、総合販売代理店です」と説明した。

 中畑氏は「1社1社AIメーカーに問い合わせても、そこは自分の会社の良いことしか言わないですよね。この予算ならこれじゃなくてこっちの方がいいですよって言ってくれるところなんかないですよ。セキュリティ重視ならこれ、安さ重視ならこれ…正確性重視だったらまた別ですし。そういうふうに判断できる人がいないんですね。そこを判断して金額だけじゃなくて…とか」とセールスポイントを挙げた。

 同社の売上高に占めるAI事業の規模はまだまだ小さいが「AIはもう広がるしかない。それは時間が短くなるか長くなるかの話ですよ。どちらにせよ、人がゼロになるわけじゃないですけど、単純作業しかできなかったとか、データ入力しかやっていない人たちの仕事がなくなるのはもう目に見えてます」と、中畑氏は断言する。

 ただ、AIの進化と派遣業への事業規模は相反するのでは?中畑氏に聞くと「うちにいる人材は将来的に、このAIツールを全部使いこなせる人材に育て上げて、派遣する」と、将来を見据えた。

 「例えばお客さんがこのツールを導入しました。うちの社員を1人連れていくんですよ。導入後のサポーターとしてうちの人材が生かせる。AIも抱えているし、人材も抱えている。逆に見えて、最終的にはAI人材を育てるという方につながっている」と、社員のAI教育プログラムにも力を入れている。

 コンピューター革命で計算、インターネット革命で情報取得コストが限りなくゼロになったとして「今は生成AIができたことによって創造、クリエイティブの革命が起きている。成果物を落とし込むコスト、時間的コストが限りなくゼロにつかづけるという革命が起きている。これはトレンドにならざるを得ないでしょう」と、ダイナミックな変化が起きているとした。

 経産省の発表では、2030年には最大79万人のIT人材が不足すると推計されている。「そこを解決したい。IT人材がいないと、新しいサービスがもう創れない世の中になっている。不足しているのを放置していたら、日本から新しいサービスは生まれない。IT人材不足を解消するのが一番日本のため。日本が生きていくのは、それしかない。人口が少なくなるのは、もう止められないですから」と未来を見据えた。

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