パソコン苦手な年配社員、覚える気なく「やっといて」押しつけられた後輩の“適切”な対応とは 識者が語る

石原 壮一郎 石原 壮一郎
画面はイメージです(Mono/stock.adobe.com)
画面はイメージです(Mono/stock.adobe.com)

 会社でパソコンが苦手だという年配社員が後輩に作業を依頼するケースがある。覚えようとする姿勢もなく、実質〝押しつけ〟だと感じさせられる事態が続いた場合、どのように対処していけばいいのか。「大人研究」のパイオニアとして知られるコラムニストの石原壮一郎氏がその対応策を提言した。

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 【今回のピンチ】

 パソコンが苦手な年配の先輩が、またまた「これやっといて」と面倒な作業を丸投げしてきた。「やり方、説明しますよ」と提案しても、「いや、俺には無理」と言うばかり……。

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 仕事はチームワークなので、お互いに助け合うことは大切です。しかし、それは「持ちつ持たれつ」が成り立っているのが大前提。どちらかが一方的に犠牲を強いられ続けるのは、極めて理不尽な状況です。

 その作業は手間はかかりますが、難しい操作が必要なわけではありません。こっちだって忙しいのに、自分でやり方を覚える気がない(しかも自分より給料が高い)先輩の仕事を押しつけられなければならないのか。考えれば考えるほど腹が立ってきます。

 本当は「ヤル気も能力もないなら、さっさと辞めちまえ。この給料泥棒が!」「そんなんだからいい歳してヒラなんだ」などと言ってやりたいところ。しかし、図星過ぎて逆鱗に触れるのは確実。しかも、実際にこんなことを言ったら、こっちが悪者になります。

 そういうタイプをおとなしくさせるには、「上司から目を付けられる可能性」をチラつかせるのが有効。

 「お手伝いしたいのは山々ですが、そうすると課長に頼まれていた仕事が後回しになってしまいます。遅くなった理由を尋ねられたら、私としてはありのままを話さざるを得ませんが、それでもいいでしょうか」

 淡々とした口調で、こう聞いてみます。こっそり上司に「告げ口」するのは気が引けますが、こうやって予告した上でなら後ろめたさを覚える必要はありません。

 相手が「課長の仕事が終わってからでいいよ」と言ってきたら、「そのあとは営業本部に出す報告書作りが」といった返しを続けましょう。結果的に「やりたくない」という固い決意を伝えることができます。

 ただ、おそらくその先輩は、こっちに頼めないとわかったら、別の若手に「これやっといて」と言いに行くでしょう。それでは根本的な解決にならないし、押しつけられた同僚から恨みを買う可能性もあります。

 もう一度「これから何度もやる必要がある作業ですから、やり方を知っておいたほうが楽ですよ」と提案してみましょう。「○○さんなら、きっと簡単にできますよ」と持ち上げるぐらいは、せめてもの情けです。

 それでも「無理無理」と逃げるようなら、「じゃあ、各メンバーの仕事をどういうバランスで分担するのがいいか、課長に相談したほうがいいですね」と、あらためて上司に洗いざらい伝えることを匂わせましょう。心を入れ替えてくれれば、それでよし。あくまで覚える気がなくても、困らされていることを心置きなく上司に伝えられます。

 もっとも避けたいのは、目先の気まずさに負けて、断われずに余計な仕事とストレスを抱えてしまうこと。できないものはできないと言う勇気を持つことは、自分を守る必須条件であり、本当の意味で「頼られるビジネスパーソン」になるための第一歩です。

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