お笑いコンビ・ソラシドの本坊元児(45)がこのほど、よろず~ニュースのインタビューに応じた。2018年から「よしもと住みます芸人」として山形県に移住。現在公開中のドキュメンタリー映画「脱・東京芸人」が話題となっている芸歴24年目のベテランが、住みます芸人になったきっかけ、苦労、今後の目標などを語った。
2001年にNSC大阪校で同期だった水口靖一郎とコンビを結成。同期には麒麟、2021年に解散したアジアンがいる。大阪で10年、東京で8年と活動したが全く目が出ず。バイトに明け暮れていたときに、所属する吉本興業から空きができた山形県の「住みます芸人」として声がかかった。
芸人としての収入はなかったが、大工として年収400万円以上があった頃。「芸人を辞めたら、大工になることが確定。大工を辞めるなら、芸人で売れるしかないから、どうしようか」と悩んでいた。相方の水口と相談した結果、山形県に移住を決意。「今よりマイナスはないと。ダウンタウンさんになれないのは、もう分かっている。ボールがホームベースに届かないのに、ピッチャーをやっても仕方ない感じですね。それなら違うことをやろうと」。全く縁もゆかりもない土地に活躍の場を求めた。
「よしもと住みます芸人」は「あなたの街に住みますプロジェクト」として全国47都道府県に芸人が居住して、笑いの力で地域の活性化させようと2011年にスタート。「プロジェクトが始まったとき、『何を言うてんねん吉本』と思ったんです。みんなNGKかテレビで活躍するために(吉本に)来ているのに、若い子に『地方はどうや?』ってあまりに酷やと。せめて『お前らどこどこ行けって』言ってあげてほしい」。当初は反発していた。
ただ、実際に「住みます芸人」になると意識が変わった。「会社の会議に出て報告していると、吉本は都落ちの感じではなくて、本当に地方のスターを作ろうとしているのが分かったので。これだけバックアップしてくれるんだと」。東京時代は担当マネジャーは100人の芸人を抱えていて、仕事が回ってくることは皆無だった。現在は東北エリアのマネジャーから山形県の仕事が全て回ってくる。
山形県に来た2018年は地元のテレビやラジオ番組、営業など順調な滑り出しだったが、コロナ禍に入ると仕事はゼロに。それでも、その期間に自給自足の生活をしようと始めた農業とお笑いに向き合う日々が、現在公開中のドキュメンタリー映画「脱・東京芸人」として話題となり、現在はテレビのレギュラー番組だけでも地元の民放局、ケーブルテレビ、BSと合わせて合わせて計6本。芸人として食べていけるようになった。
「それまでは月1回もらった仕事だけを夢見ていたので。これが毎日になると、どうしたらいいかみたいな感じもあるけど、すごく仕事をいただけるのはありがたいです」と感謝を口にする。1月3日はあこがれだった大阪・NGKの舞台に初めて立った。「住みます芸人として頑張ったからだと思いますね。漫才が評価されてのNGKではないですね。正直に言うと」。芸人としての複雑な思いも口にした。
目指すはお笑いの世界を「地方の時代」にすること。「大阪の芸人が仕事の幅が広がって東京に行ったり、全国に行ったりするように、ただ拠点が山形だった、というようにいずれはしたいですね。山形を拠点に東京、大阪を狙っていく。全都道府県の住みます芸人がそうなるように、まずは最初にしたいですね」。地方を拠点に全国区へ。ベテラン芸人の奮闘は続く。
◆ソラシド・本坊元児(ほんぼう・がんじ) 1978年8月7日生まれ。愛媛県出身。NSC大阪校20期生で同期の大阪府出身の水口靖一郎(みずぐち・せいいちろう)と2001年1月に「ソラシド」を結成。2018年10月から住みます芸人として移住した山形県を中心に活動中。