オシャレは命がけ?19世紀イギリスで多くの女性の命を奪った"死のドレス"が現代に蘇る

近藤 リナ 近藤 リナ

19世紀に多くの女性の命を奪った"死のドレス"が現代に蘇り、SNS上で大きな注目を集めている。

「【死のドレス】が現代に蘇りました

19世紀ヴィクトリア朝に、多くの女性の命を奪った色があります

【パリス・グリーン】と呼ばれた美しい緑色の染料は、ヒ素を含んだ猛毒だったのです

そんなドレスを、手作業で修復した半年間
ようやく復元ができました

(毒、効かない体質なんだよね...オレ)」

と1860年頃に作られた死のドレスの修復過程を紹介したのは衣服標本化の長谷川彰良さん(@rrr00129)。

緑色の染料「パリス・グリーン」が猛毒のヒ素を含んでいることに加え、大きなクリノリンスタイル(スカートにボリュームを出すために鯨ひげや針金を輪状にして重ねた骨組みを使ったワンピースドレス)のスカートが引っ掛かり馬車から女性たちが転落するなど、多くの女性を死に至らしめた死のドレス。

そのいわくつきのドレスを復元しようという長谷川さんの探求心に、SNSユーザー達からは

「こんな素敵な色合いが猛毒だなんて…
綺麗な花には棘があるっていう言葉思い出しました。
「先人の知恵を活かせる技術がすごい。」
「ご無事で何よりです
当時の染物屋さんや縫い子さんは大丈夫だったのでしょうか?
やはり悲しい事になってしまったんでしょうね
こんな所にも当時の毒文化の恐ろしさがある事を改めて知りました」

など数々の驚きの声、称賛の声が寄せられている。

長谷川さんにお話を聞いた。

ーーどのような経緯で修復前の死のドレスを入手したのでしょうか?

長谷川:アメリカのアンティークディーラーから購入しました。流石にダメージが酷かったので誰も買い手がいませんでした。私なら修復できるなと思い、日本円で3万円程度でした。

ーードレスの修復の過程で印象的だった修復作業をお聞かせください。

長谷川:過去にリメイクされていたことが印象的でした。 このドレスは仕立てを見る限り1860年頃に作られています。 しかし、その後リメイクされていたことが縫い目をみて分かりました。 1870年ごろに大幅なリメイクをされ大胆に作り変えられていたのです。 よって修復しつつ、リメイク前に戻す作業が大変であり面白かったです。またスカートの裏側には、修理をすることを見越して大量の布が残されていました。先人の知恵に感謝ですね。

ーー修復時ドレスの染料の毒に対してなにか対策はされたのでしょうか?

長谷川:特に対策はしていません。美しく復元することに全集中しました。

ーーこのドレスを修復してみて新たな気付きをお聞かせください。

長谷川:修復作業に興味がある人たちがいるということに気付きました。これまで修復は淡々とこなしていたので、あまり公にしていませんでした。しかし、修復プロセスを見たいという声があったので、修復の一部は一般公開し参加者の前でおこないました。

ーーこれまでのこの投稿に対する反応や反響に対する感想をお聞かせください。

長谷川:アンティークや、ドレスが好きな人のみならず、多くの方に興味を持っていただけたのが嬉しかったです。緑と黒の市松模様なので、鬼滅の刃ファンの皆さんから反響がありましたね。

◇◇

今回紹介した死のドレスは10月8日から31日は東京の大和田ギャラリー、11月26日から12月3日は大阪の大織健保会館て行われる「半・分解展」で見ることができる。

展示は当時の衣服を半分だけ分解し、通常は見ることのできない内部の縫い目やパターン設計を楽しむことができる。展示されるドレス、婦人服の中には約300年前のドレスもあるそう。これらの展示は触ることも可能だそうで、見て、嗅いで、触れて服の歴史を感じることができる。気になった方は是非会場に足を運んでいただきたい。

長谷川彰良さん関連情報

X アカウント:https://x.com/rrr00129
東京「半・分解展」:https://sites.google.com/view/demi-deconstruction/
大阪「半・分解展」:https://sites.google.com/view/demideconstruction2/

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