名は知らずとも顔を見ればひと目でわかる俳優イ・ジョンウン!遅咲きバイプレーヤーの魅力は作品選びにあり

椎 美雪 椎 美雪
イ・ジョンウン(出典:willent_official Instagram)
イ・ジョンウン(出典:willent_official Instagram)

 どんな作品でも、主役だけでは成り立たない。それらを盛り上げるのが〝バイプレーヤー〟という存在だ。韓国ドラマファンならば、名は知らずともその顔を見れば「あ!」と思うこと間違いなし。そんな演技の手だれたちを紹介したい。

 今回紹介したいのは、イ・ジョンウン。最近は「未成年裁判」「私たちのブルース」などの出演が記憶に新しい。そんな彼女は、これまでも幅広い役柄をドラマや映画を通して演じてきたが、2019年に映画「パラサイト 半地下の家族」に出演すると、その年の助演女優賞をほぼ独占、広告出演依頼が殺到するという、俳優人生の全盛期を迎えたと言う。

 元々は舞台の演出助手からキャリアをスタートさせたイ・ジョンウンは演技に自信がなく、簡単なセリフも言えないほどで、カメラ恐怖症になりかけたそうだ。そのため、1991年に舞台デビューを果たすも映像への進出は映画は2000年、ドラマは2013年と遅咲きである。

 舞台俳優として不遇の時代を過ごす中で契機となったのは、ミュージカル「パルレ(洗濯)」だった。韓国の代表的な創作ミュージカルの一つであるこの作品で、彼女は2008年から約4年間、大家のおばあちゃんと女性従業員の役を演じ続けた。そして同作で第1回「若手演劇人賞」を見事受賞。

 こうして演技に自信をつけたイ・ジョンウンは映像へ本格進出し、現在に至る。

 2019年に放送されたドラマ「他人は地獄だ」では、主人公のイム・シワンが上京し入居する考試院(コシウォン:勉強するために借りる小さなワンルームのようなスペース)の大家を演じたが、原作マンガとのシンクロ率の高さに視聴者を驚かせた。

 また同年放送のドラマ「椿の花咲く頃」では、コン・ヒョジン演じるドンベクの実母役を演じ、ドンベクが7歳の時にある事情から子を捨て、後に認知症となってドンベクの前に現れるという役を演じたのだが、実はこれには深い理由があり、イ・ジョンウンの演技力の深さを本作で改めて思い知らされる。

 彼女の出演作で印象に残っている作品を上げればきりがないが、昨年初めて長編映画の単独主演を務めた映画「オマージュ」は、静かな作品ながらも力強さを感じさせた。

 同作のプロモーションインタビューでイ・ジョンウンは「作品選びで最も重要視するのは、物語の力」だと言い「芸術性に優れているからというよりは、もともと小さな物語が好きだ。作品が私を必要としていて、私もその作品を必要としているから(「オマージュ」に)出ようと思った」と語る。

 だからこそ、彼女の出演作はもれなく見る者の懐に入り込み、心をあたためるのかもしれない。現在53歳、まだまだ脂ののった彼女の演技が楽しみである。

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