俳優のアン・ジェウクが、JTBCの新ドラマ『The Empire：法の帝国』でダークな雰囲気を漂わせている。
『The Empire：法の帝国』は、アン・ジェウクとともに主演を務める女優のキム・ソナが、3年ぶりに復帰したことでも注目の作品だ。
9月24日に韓国で初放送を迎え、登場人物の人間関係や撮影ロケ地、セットの豪華さ、さらには早くも結末までが話題となり、視聴者の関心を集めている。
本作は、法で築いた“要塞”の中で、守られていた欲望や偽善の人生、そんな人々の秘密暴露と、“手に入れられない物はない”者たちの墜落スキャンダルを描く。
キム・ソナが中央地検の特捜部部長で、富と権力を世襲してきた家門の嫡女ハン・ヘリュル役を、そして法律大学院の教授で、ハン・ヘリュルの夫であるナ・グヌ役をアン・ジェウクが演じている。
ここにイ・ミスク、ソン・ヨンチャン、シン・グ、オ・ヒョンギョンという、そうそうたる俳優が加わり、名声と特権で私生活を隠して生きる法律家家族に扮する。
出演者やあらすじだけを見ても興味を誘うが、視聴者をより惹きつけたのは、アン・ジェウクの演じるキャラクターだろう。
アン・ジェウクは、1997年に放送されたMBCドラマ『星に願いを』をきっかけに、韓国だけでなく海外でもトップスターの称号を手に入れた人気俳優。端正なビジュアルに柔らかい笑顔、そして優れた演技力から、好感度の高い俳優として、大衆から愛されてきた。
そんなイメージを持つアン・ジェウクが、前作のtvNドラマ『マウス』(2021年)に続き、ダークな雰囲気をまとう役を演じるようだ。
法律大学院教授のナ・グヌは、恵まれない環境を乗り越え、次期大統領選候補にまでなった人物。
誰が見ても完璧な人生を歩んでいるように映るが、実際は虚像にすぎない。乱れたプライベートを知らない人々は彼を愛し、彼もまた徹底した偽装を続ける。
ドラマはスタートしたばかりのため、どんな役柄かははっきりとしていないが、優し気な笑顔の裏に隠された欲望、偽善とくれば、権力スキャンダルの中心にいる悪しきキャラクターではないかと予想できる。
好感度の高かったアン・ジェウクが、2作連続で悪役を担ったのは、過去に起こした騒動が関係している可能性が。
それは2003年と2019年、飲酒運転事件を起こしたこと。
まず2003年8月、飲酒状態で自家用車を運転していたところ、一般道の交差点で前の車に衝突する事故を起こす。当時の血中アルコール濃度は0.11％で、これは免許取り消しに該当する数値だという。
そして2019年2月、地方スケジュールを終えてソウルに戻る際、飲酒運転の取り締まりで摘発される。血中アルコール濃度は0.096％で、免許停止となった。
この件に関してアン・ジェウクは、所属事務所を通して謝罪文を発表。前日の遅い時間にスケジュールが終わり、その後、同僚と酒席を設ける。ホテルに戻って睡眠をとったが、翌日午前に“二日酔い運転”で摘発されたという。
二度に渡る飲酒運転で、世間からバッシングを浴びてしまい、出演していたドラマや映画、舞台までも降板することに…。
すっかり好感度が下がってしまった彼にとって、これまで通り“良い人”役を続けることは困難だと判断したのだろう。そんな彼が選択したのが、悪役だった。
韓国では、俳優が不祥事を起こすと、長い自粛期間を設けた後、ネガティブなイメージ通りのキャラクター、つまり悪役を担うというパターンが多い。
“悪役専門俳優”と呼ばれているイ・ギョンヨンも、ある事件をきっかけにお茶の間から一定期間姿を消した一人だ。それまでは、メロドラマジャンルで活躍を見せていたが、活動再開後はラスボス的悪役を引き受けることに。これが成功し、韓国ドラマに欠かせない悪役のポジションを手に入れている。
アン・ジェウクはデビューから現在まで、演技力議論が一度もなかった俳優として有名だ。『マウス』で初の悪役を演じた際も、世間からその優れた演技力が認められている。
アン・ジェウクもイ・ギョンヨンと同じく、好感度を捨てて1からやり直す道を選んだ。卓越した演技力を持つ実力派俳優だからこそ、この再起は実を結んだのだろう。
新天地を切り開いたアン・ジェウクの活躍に、今後も期待がかかる。
(構成：星野沙)
