ゴルフの道から料理の道へ。兵庫県・園田競馬場内にあるマグロ料理専門店「一八(いちはち)」の湯浅滝店長(51)は、多くのプロゴルファーを輩出する名門・近大ゴルフ部で主将を務めていた。プロへの道を目指してテストを5回受けたものの、吉報は届かず27歳で断念。料理店を経営している知人の紹介もあって、和食の料理人として働くことになった。
転機が訪れたのは2013年に園田競馬でナイター競馬が定例開催されることになったこと。店舗募集の説明会があると聞ていた参加した。「変わった、話題づくりに絞ってやろうかな」と他店との違いを図るため、全国の競馬場でも珍しい「マグロ料理専門店」が誕生した。
大阪市中央市場で仕入れた上質のメバチマグロを基本的に使用。「値段的に本マグロは無理だし、キハダよりはメバチの方が」と語る。料理のメニューは種類も多彩でどれも格安。いずれも税込みで、定番の鉄火丼(500円)をはじめ、1日100本、多いときは500本は出るというマグロ串カツ(1本100円)、開門早々に売り切れる数量限定のマグロカツサンド(1個150円、3個入り350円)など。アテ、アルコール類もある。
取材当日もマグロカツサンドは既に売り切れていたが、鉄火丼とマグロ串カツをいただいた。鉄火丼はご飯とネタのバランスが絶妙で、生臭くなく適度に脂が乗って美味。大阪の地元「ヘルメスソース」がかけられた串カツは、豚や牛ほどしつこくはなくても、しっかりとした味。それでてい軽くて何本も食べられそう。
「おいしいと言われるのが一番」と仕事での喜びを語る湯浅店長は、今年2月にタイのシニアプロテストを受けて合格。8月に行われる現地の試合に出場する予定だ。「お店を(アルバイトに)任せて行こうかなと」と笑う。一度はあきらめたプロの夢がかなった〝二刀流〟店長の味を是非ご賞味あれ。