唯一無二の絶品「ホルモンうどん」が向日町競輪場にあった 国産牛の肺のみ使用【勝負メシ3】

中江 寿 中江 寿
名物のホルモンうどん
名物のホルモンうどん

 ギャンブル場での楽しみのひとつに「グルメ」がある。予想が当たってもうかれば味も一層おいしく感じられ、負けが込んでいてもパワー補充でいただく。各場に名物があり、それぞれ個人的にお目当ての一品もあることだろう。「よろず~ニュース」では、全国の公営レース場から、そんな『勝負メシ』を紹介していく。

 京都府・向日町競輪場にある「竹村亭」の「ホルモンうどん」(650円税込み)は、ラーメンと並ぶ同店の看板メニュー。使用するホルモンは国産牛の肺のみ。20年前に母が亡くなり、後を継いだ中嶋幸洋(60)さんは「以前はてっちゃんなど、いろいろな部位を入れていたのですが、ものすごく仕入れの単価が上がったので」と説明する。安くておいしくボリュームのあるものを提供するため、試行錯誤の末、15年前に現在の形にたどり着いた。

 くさみや汚れを取るため、仕込みは2日間かけて行う。1回の仕込みで作る量は100人分。肺を4等分に切り分け、もみ洗いをして血管の血を抜いてから鍋で45分ほどゆでる。鍋から上げると食べやすい大きさに切って2、3時間もみ洗い。また鍋に入れて湯を入れ替えながら、湯がにごらなくなるまで2、3時間ゆでる。そしてようやく塩、砂糖、酒、みりん、濃い口と薄口醬油など数種類の調味料と最後におろしにんにくを入れて味を付け、火を落としてからごま油を投入。1回冷まして味を染み込ませてから寝かして完成となる。

 長年愛されているだけではない。昨年の12月29、30日に開催された「年末フードグランプリ–foodGP2022–」において、場内の飲食店と期間限定で出店したフードカーの中から、客による投票でランキング総合1位に輝いた。

 レトロ感が漂う店内でいざ、実食。どんぶりを覆うくらい、たっぷり入ったホルモン。見た目はレバーに似ているが、食べてみると驚くほど柔らかい。歯を使う必要がないくらいだ。臭みも全く無く、いくらでも食べられそう。

 麺は市販のゆで麺で、太麺と細麺から選ぶことができる。一度、讃岐うどんの麺を試したところ、年配が多い常連客から〝柔らかい方がいい〟という意見が大半で、市販のゆで麺を使用している。うどんのつゆは昆布とかつお節でだしを取った自家製。シンプルで飽きのこない味となっている。

 店内で食べる場合は税込みで650円だが、500円で店外での立ち食いも可能。ただ、値段の違いもあり少しだけホルモンの量を控えめにしている。営業時間は10時から15時30分。本場開催、場外発売日に営業しているが、不定休となっている。「競輪場で生まれ育ったし、ここで死んでもいいと思うくらい愛着があります」と語る中嶋さんが丹精込めて作る「ホルモンうどん」は〝隠れた名店〟における唯一無二の味と言っていい。是非、一度足を運んでみては。

 ◆向日町競輪場 京都府向日市寺戸町西ノ段5番地。JR「向日町駅」、阪急「東向日駅」から無料送迎バスが運行している。阪急「東向日駅」から徒歩で約18分。

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