築120年超、都心で感じる歴史的事件 将軍・乃木希典「最期の時」三階建て邸宅が一般公開へ

穂積 昭雪 穂積 昭雪
乃木公園にある「乃木大将と辻占売りの少年像」
乃木公園にある「乃木大将と辻占売りの少年像」

2023年5月20日(土)および21日(日)、東京都港区赤坂にある乃木公園にて「旧乃木邸」の一般公開が行われる。入場は無料で入場時間は9:00 ~ 16:00となっている。

「旧乃木邸」とは、日清・日露戦争を戦った陸軍大将・乃木希典(1849~1912)が実際に住んでいた邸宅で、乃木希典の命日(9月13日)を含む年に3回の頻度で内部を公開している。

 邸宅は明治35年(1902年)に建てられた三階建ての住宅で築年数は120年以上となる。

外観は日本古来の瓦葺の木造住宅だが、内装は乃木将軍がドイツ留学中に見学したフランス陸軍連帯本部を参考にした近代的設備の整った和洋折衷の邸宅である。

台所や料理場、浴室や便所、といった生活スペースは当時と変わらない形で残されており、実際にこの建物に人が住んでいた息吹を感じる事ができる。

多くの政治家達が使用したであろう大応接室や来賓食堂(乃木の書斎兼用)、この時代ならではの見所も非常に多いが、特筆すべきは、「殉死の室」と呼ばれている部屋である。

もともとは乃木希典の居室として使用されていた部屋だが、1912年(大正元年)9月13日、午後8時頃、明治天皇の大喪当日に乃木は夫人と共にこの部屋で自らの命を絶ったのだ。

「殉死の室」にはその際に不着したと思われる血の付いたシャツなども展示しており、令和を生きる我々に「乃木希典将軍殉死」という歴史的事件を伝える役割を果たしている。

 乃木公園は「旧乃木邸」という歴史的に貴重な建造物のほか、邸宅から一歩外に出ると緑豊かな自然と立派な神社(乃木神社)が隣接されている。その独特な雰囲気は赤坂というオフィス街の中に突然現れたオアシスのようである。

最後に、公園の担当者に一般公開の見所などを訪ねてみた。

 「明治当時の建物がそのまま残っており、傾斜にあわせて半地下がある構造が建築に興味がある人にはとても面白いと思います。破れたふすまがありますが、当時の生活感を伝えるため、張り替えずに当時の反故紙(ほごがみ)をそのまま残しています。当時の日常生活に思いを馳せてみていただきたいです」

 重要な歴史的文化財に触れるチャンスだ。

 ■港区赤坂地区公園情報サイト

https://www.akasaka-parks.jp/event/#93eb57fbda7d2713c4611ead1b12a669cab5e10457fe1c6a87b66e1e1e57b4a5

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