自然に近い環境で繁殖を目指す人気者・ハシビロコウ 動かない鳥は恋の成熟にも時間がかかりそう!?

中江 寿 中江 寿
堂々とした振る舞いのハシビロコウ
堂々とした振る舞いのハシビロコウ

 何事にも動じず、堂々とした姿からは風格さえ漂う…。神戸市にある「神戸どうぶつ王国」で人気が高いハシビロコウのボンゴ(オス、推定11歳)とマリンバ(メス、推定8歳)。身長はそれぞれ130センチ、120センチと大きい。来場者が近くに寄ってきても、子どもたちが騒いでも、気にしたそぶりは全く見せない。

 担当の長嶋敏博さんは人気の理由を「動かない鳥として有名ですし、見た目のインパクトですかね」と分析する。鋭い目つきに大きなくちばし。「正面から見ると強面ですけど、見る角度によってはかわいいというか…。横から見ると口角が上がっているようで、違う見方もできますよ」と見学の楽しみ方を教えてくれた。

 ハシビロコウは絶滅危惧種に指定されており、2羽は2年前に完成した繁殖目的のエリアにいる。雨期と乾期に分け、人工的に雨を降らせるなど、アフリカ大陸の生息地に近い環境。ボンゴについては「人を見ていますね。お客さんか飼育員か。飼育員には好き嫌いがあるみたいで、僕は嫌いみたいですね」と苦笑い。健康診断時などに捕まえる立場でもあり、近づくと威嚇されるという。

 一方のマリンバは「ボンゴに比べると怖がりな面がありますね。(ボンゴが)アプローチして近づくと怖がって逃げたり…」ともどかしい様子。繁殖適齢期の2羽の距離は徐々に縮まっているようだが、恋の成熟にはまだまだ時間がかかりそう。2世の誕生が待ち遠しい。

 普段は閉園後に解凍したニジマスやアマゴなどの川魚を与えているが、エリア内の池にはエサとなるナマズ、どじょうなどが泳いでおり、捕食する時もある。動かない鳥として有名なハシビロコウだが、レアな動く瞬間に出会えるかもしれない。

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