ホテルのカーペットに記された「靴を脱いで『ぐっすり』お眠り下さい」という言葉。優しい心遣いなのだろう。きっとそうなのだろうが、見れば見るほど別の意味合いが含まれていそうな…。
話題を呼んでいるのは、謹製・遠日点(@62178G)さんが7日に投稿したツイート。宿泊したホテルのカーペットを撮影し「もう2度と起きられないのかと思ったが、無事に朝が来てよかった」とつづった。写真をよく見ると、カーペットには「靴を脱いで『ぐっすり』お眠り下さい」の一言。かぎ括弧と大きめの文字サイズで“ぐっすり”という言葉を強調している。
誤った日本語を使っているわけではない。ましてや、明確におかしな指示でもないのだが…。投稿には12日時点で、6万件に迫るいいねが寄せられ、「こわwww」「ざわ…ざわ……」「意味深すぎて草」「怖く感じる」「戻ってこれない感すごい」など共感の声が集まった。
また、“靴を脱いで”や“お眠り下さい”など、丁寧な指示に対して「注文多そう」「やっぱ『注文の多い料理店』連想するよね」「山猫軒的な?」「壺のなかのクリームを顔や手足にすっかり塗ってください」と、宮沢賢治の童話を連想する声も。謹製・遠日点さんも「指示が具体的すぎるので、モニターで監視されているんじゃないかと想像してしまいました」と回想。「丁寧な口調やフォントがデスゲームよりも注文の多い料理店を連想させるのかな」と分析した。
ただ、肝心の寝心地は「とても良かった」といい「寝覚めが良かったので朝風呂もいただきました」と満喫。ツイートの反響にも「これだけの人がこの『意訳』をくんでくれるんだなぁと」と言葉の面白さを痛感したという。
さて、気になるのは、このホテルは一体どこなのかということ。調べてみると、引用リツイートで「弊社ホテルの靴を脱ぐ境界線がおバズりになっている…!!」と反応する投稿が。投稿主は、国内172店舗を運営するビジネスホテルチェーン「スーパーホテル」の公式Twitter。同ホテルの担当者にカーペットの表示に込めた思い、反響の受け止めを聞いた。
同ホテルは、大阪府立大学名誉教授の清水教永医学博士とともに「ぐっすり研究所」を立ち上げ、寝具や空気と水にこだわった客室設備・サービスを開発。カーペットの表示も、その一環で発案・導入されたという。
担当者は、ホテルの一番の使命を「出張や観光でホテルに宿泊するお客さまに『ぐっすり』眠って、翌朝元気にご出発いただくことであると考えています」と説明。表示には「履物を脱ぐことでリラックスして、ごゆっくりお休みいただきたい」という気持ちが込められているという。
そんな思いとは裏腹に、今回のツイートは「意味深」「注文の多い料理店感」「ぐっすりとgood sleepを掛けてるってこと?」などの予想で盛り上がったが、担当者は「そのような意図があったわけではないかと存じます」と明かした。ぐっすり眠って身体も心も元気になってほしいという一心での取り組みだったため、「思いがけず話題にしていただき驚いております」と“寝耳に水”だったようだ。
カーペットの表示は、2008年頃に一部店舗を除き、ほぼ全ての店舗・客室に導入。それから約15年間、今回のような指摘や反響の事例はなかったといい「本件により、新たな気づきを得たような状況」と現状を説明。「ユニークな感性で、私どもの『ぐっすり』への取り組みを多くの方に楽しく知っていただき、とても嬉しく感じております」とした。