学生向け衣料ブランドのカンコー学生服は今春、岡山県立岡山南高校で女子スラックス、男女共通ベスト・カーディガンの着用を開始する。
同社と連携する同校服飾デザイン科が主催する「産学連携実学体験プロジェクト(Minami Practical Science 以下:MPS)」の2021年度企画「岡山南高校のセーラーに合うベストパンツコーデを考えよう」から開発された。
MPSは、同県の主要産業である繊維・服飾業について専門的に学ぶ生徒たちが、企業の活動を体験することで、自身のキャリアアップや産業の活性化につなげるプロジェクト。カンコー学生服は、2014年度から連携を続けてきた。今回の導入案は2021年度のMPSでスタート。「現在のセーラースタイルを維持したまま、セーラーに合うパンツコーディネート」を検討した。多様性への配慮や環境対応を考慮し、生徒が学校生活をより快適に過ごせるようになることが目指された。コーディネートの一環として、カーディガン・ベストの導入も発案された。
2022年度には、女子スラックスは企画からの試作を繰り返し、デザイン、仕様等の調整を実施。カーディガン・ベストについては男女共通アイテムとして制服検討生徒プロジェクトチーム(2年生代表生徒9人)で検討が進められてきた。
同校3年の妹尾歩佳さん(2021年度MPSで女子スラックス企画を経験)は「セーラー服にパンツスタイルという、これまで考えたことがなかったテーマに取り組むことで新しい気づきがありました。デザイン面だけでなく機能的な面でもさまざまなことを考えたので、MPS活動を通して、視野が広がったと感じています」と感想を述べた。
そして「工夫した点は、デザイン面では、セーラー服のラインで使われている茶色をパンツに取り入れることで、上下が馴染むのではないかと考えました。また、機能面では、セーラー服は少し丈が短いので手をあげるような動作をしたときにお腹や背中が見えるという問題点がありました。そこで、スラックスの股上を深めのハイウエストにすることで問題を解決することができました」と振り返った。
その上で「スラックスには多様性配慮という思いもあります。制服のせいで学校に来られなかったり、高校生活をエンジョイできないというようなことがもしあるのであれば、自分たちが考えた制服を着て少しでも過ごしやすく楽しく生活してもらえればと思います。出来上がりは満足で、とてもかわいい制服なのでぜひ皆さんに着ていただきたいと思っています」と呼びかけた。
同ブランドを展開する岡山菅公学生服社で、MPS進行を担当する長尾桐帆さんは「2021年度のMPS活動では、当初女子スラックスが実際の導入に至るかまでは実は決まっていませんでした。企画を進めるうちに、在校生や中学生へのアンケート調査などからさまざまなニーズが見えてきました。生徒全員が快適に学校生活を過ごせるように選択肢を増やしたい、という企画メンバーの熱い思いが学校全体を巻き込み、実際の導入に繋がったのだと感じています」と語った。