「いくつに見える?」-。自分の年齢を会話の相手に質問してくる人がいる。うっかり、本人の期待を裏切る〝大はずれ〟の回答をして不機嫌にさせてしまった時、あなたならどうする?「大人研究」のパイオニアにして『大人養成講座』『大人力検定』など多くの著書を世に送り出してきたコラムニストの石原壮一郎氏が「大人の切り返し講座~ピンチを救う逆転フレーズ~」と題し、その打開策をお伝えする。
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【今回のピンチ】
初対面の取引先の社長に、「俺、いくつに見える?」と聞かれた。念のため見た目の印象より5歳ぐらい若めに答えたところ、見る見る不機嫌になり「もっと若いよ」と……。
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相手が男性にせよ女性にせよ、この「いくつに見える?」という質問は、極めて厄介かつ危険。新しい取引先を訪問したら、初対面の社長が話の流れでこう聞いてきました。
見た目の印象は60代前半でしたが、念のため「えー、難しいですね。50代後半ですか」と5歳ぐらい若めに答えたところ、残念ながら大外れ。実際は50代前半でした。
この質問をしてくる人は、自分の見た目の若さに(やや過剰な)自信を持っています。上に外すのは、取り返しのつかない大失態。さて、どうリカバリーすればいいのか。
真っ青になって「あわわわ、と、とんでもないご無礼を……」と激しく謝るのは、むしろ逆効果です。若く見られたいくせに、「見た目の若さにこだわっている人」とは思われたくないというのが、ややこしくて面倒くさいところ。「あっ、すみません」ぐらいの感じで、軽めに謝っておきましょう。その上で、
「私、けっこう年齢を当てるのは得意な方なんですけど、社長からにじみ出る人間としての厚みに惑わされてしまいました」
そんな言い方で、外したことを逆手に取りつつ相手を持ち上げます。あるいは、
[えーっ、その若さにして、これだけの会社を率いて、次々に成果を上げてらっしゃるなんて、素晴らしい手腕ですね!」
と、驚くのもオススメ。決して老けて見えたわけではないと言い訳しつつ、相手をいい気持ちにさせることができます。一見、業績絶好調な会社の社長にしか使えないセリフに見えますが、そんなことはありません。どういう会社の社長でも「いやあ、それほどでも」と鼻高々になってくれるでしょう。
それなりの年齢と思われる女性にこの質問をされた場合、同じ失敗は絶対に許されません。安全策を取って大きく若めに言うのも、微妙に失礼。「えーっと、おそらく成人はしてらっしゃいますよね」とマヌケな小ネタを繰り出すことで、リスクを回避しましょう。