「鼻出しマスク」を注意した相手に逆ギレされた どうする? 立場を逆転させる意外すぎる言葉

石原 壮一郎 石原 壮一郎
画像はイメージです(neg/stock.adobe.com)
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 コロナ禍によって2年以上にわたって「マスク生活」が浸透したが、政府は5月23日、新型コロナウイルス対策の基本的対処方針を変更し、状況によっては「マスクを着用する必要がない」とした。臨機応変に判断してマスクの着脱をすることになったわけだが、その〝さじ加減〟が難しい。マスクから鼻を出している相手をスルーせずに注意したら、「マスク信者か!」などと逆ギレされた時、あなたならどうする?「大人研究」のパイオニアにして第一人者、『大人養成講座』『大人力検定』など多くの著書を世に送り出してきたコラムニストの石原壮一郎氏が「大人の切り返し講座~ピンチを救う逆転フレーズ~」と題し、その打開策をお伝えする。

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 【今回のピンチ】

 上司と取引先に行く途中、マスクがずれていたので「部長、鼻が見えてますよ」と言ったら、たちまち顔が真っ赤になり「お前はマスク信者か!」とキレられた…。

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「この状況ではマスクを外してもいいのか、外さないほうがいいのか……」

 このところ私たちは、1日に何度も、そんな葛藤にさいなまれています。新型コロナウイルスのまん延が始まって2年半、マスクは必需品というか、マスクをしていないと人間扱いされない状態が続いてきました。

 しかし、5月下旬に政府が、マスクの着用に関する新しい見解を発表。屋外で2メートル以上の距離が確保できる場合や、屋内でも換気が十分で会話をほとんど行なわない場合は「着用の必要はない」としています。

 要するに政府としては「まあ、どっちでもいいよ」と言いたいようです。だからといって、一気にノーマスクの人が増えたわけではありません。現時点では、ウイルスよりも周囲の視線が怖くて、マスクを外すにはかなりの勇気を振り絞る必要があります。

 マスクをすることが「絶対的な正義」とは言えなくなったことで、最初に述べたような葛藤や考え方の違いによる不毛な対立など、面倒な状況が生まれてしまいました。

 このケースも、部下は鼻を出していた部長をとがめたわけではありません。取引先に対するエチケット的な意味で指摘しただけ。ところが、どうやら部長はマスクな日々に強い恨みがあったようです。なんとも厄介な地雷を踏んでしまいました。

 「なにキレてんですか。そういう問題じゃないでしょ。ははあ、ずっと隠れ嫌マスク派だったんですね。これまではおとなしくしてたけど、世の中の風向きが変わったから急に強気になったと。最高にダサイですね」

 本音としては、そう言ってやりたいところ。ただ、人は本当のことを言われると逆上します。上司の弱くてズルい部分はスルーするのが部下の情けでもあるので、思うだけで口には出さないであげましょう。

 とりあえず大事なのは、部長の怒りをしずめること。「いえいえ、取引先の人が気にするかなと思って」と説明しても、あまり効果はなさそうです。ここは意外なリアクションで相手を混乱させましょう。

 「マスク信者だなんて、とんでもない!鼻だけじゃなくて口も出しましょう!」

 そう叫んで、自分のマスクを勢いよく外します。「さあ、部長も」と促せば攻守の立場は逆転し、部長は「いや、その……」とおとなしくなるはず。「政府だって屋外では必要ないと言ってますから、会社に着くまでは外してましょう」と提案するのも一興です。

 しょせん部長は、鼻出しを指摘されてキレるようなちっちゃい男なので、部下には強気に出られても、世間様に逆らう勇気なんてありません。かなり高い確率で「い、いちおうつけとくか」と言い出すでしょう。

 必死で強がって「お、おう。外したままで行くか」と言ったとしても、先方の会社の前についた段階で「じゃあまあ、室内でたくさん会話しますから」と言えば、素直につけるに違いありません。

 仮に、本当に敬虔な「マスク信者」だったとしても、肉を切らせて骨を断つという感じで、どうにか結果オーライです。

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