発売40周年のG-SHOCK 開発者が来年発表予定の進化モデルに手応え

よろず~ニュース編集部 よろず~ニュース編集部
「G-SHOCK PREMIUM NIGHT」で講演する伊部菊雄氏=都内
「G-SHOCK PREMIUM NIGHT」で講演する伊部菊雄氏=都内

 カシオの腕時計ブランドG-SHOCKの40周年を祝うイベント「G-SHOCK PREMIUM NIGHT」が5日、都内のビルボードライブ東京で行われ、開発者の伊部菊雄氏(70)が講演を行った。

 1983年に販売され、来年節目を迎える同ブランド。伊部氏は高校の入学祝いに父親から贈られた腕時計を落として壊したことで、壊れない時計というコンセプトを思い立った。当時、時計は精密機械で落とせば壊れるものというのが常識で、腕時計は薄型が人気だった。

 「丈夫で厚く大きい時計は世の中に逆行することは分かっていたので、目立たないところで実験をしたいと思い、技術センター3階のトイレの窓から落下実験をすることにしました。ところがOKになったサイズはソフトボール大の大きさです。これを見たときに、本当に非常識な発想だったと思いました。これを時計サイズまで小さくすることは、苦難の連続でした。モチベーションが維持できたのは、たまたま技術センターの前で道路工事をしていた誰もが、壊れやすいので腕時計をしておらず、すぐに時間が分からない不便を解消していただきたい、こういう強い思いもありました」

 開発は困難を極めたが、ある日公園で子どもたちのボール遊びを眺めていた時に「ボールの中に時計の大事な部分が浮いている、劇的な解決策が奇跡的に…」とひらめいた。外殻から時計の心臓部を浮かせる構造で開発は進展し、開発期間2年で完成。「これを乗り越えたことから、ネバーギブアップが自分の信念になったんです」と振り返った。

 防塵性、防泥性、潜水用の耐水性など新たな機能を追加したモデルが誕生し、過酷な現場で活動するプロに加え、若者ファッションにも歓迎される進化を遂げた。メタルフレーム、日本の彫金技術が詰まったモデルなど、技術の進化が続いていることに胸を張った。

 来年40周年を迎えるG-SHOCK。現在、過去39年間のノウハウとデータをAIに学習させ、デザイナーとコラボする開発が進行中。伊部氏は「人間は知らず知らずのうちに枠ができてしまい、それが既成概念となってしまうことがあります」と後進のアイデアを頼もしく感じたという。「実際のモデル製作はこれからのG-SHOCKを育てる若い世代。これをサポートするのが、今まで育ててきたベテランという、万全なプロジェクトでチャレンジをしております」と、新たな進化への思いを口にした。

 宇宙空間でも耐えられるG-SHOCKを未来の夢に挙げた伊部氏。「来年の40周年には、このメンバーの若い方がコンセプトモデルを紹介できると思っております。テーマは『新たな幕開け』です。私は35周年の時、40周年では若い人がお話していますとお伝えしましたが、これは約束が守れそうです」と語った。

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