停電の中、生後3カ月の赤ちゃんに開胸手術 無慈悲な空爆、寒さ深まるウクライナを覆う「闇」

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 無慈悲な攻撃が止まない。ロシアが、ウクライナのエネルギー網のインフラに対する空爆を続けていることで、首都キーウを含めた広い地域で停電が続いている。ウクライナの医師は停電の中、生後3カ月の赤ちゃんの開胸手術を行うなど、過酷な状況が現実のものとなっている。

 23日に自宅近くにロシアのミサイルが飛来した時、キーウに住むニーナ・ブラシウクさんと10歳の娘は在宅だった。攻撃が止むまでニーナさんは娘の体を覆ったという。「どうすればいいの?」とニーナさんは話す。冬の寒さが厳しさを増していく中、爆発で被害を受けた自宅には、電気も暖房も水道も通っていない。

 ロシアによる直近のミサイル攻撃で犠牲者が相次ぎ、ウクライナの原発は40年ぶりに全基が停止している。過去最悪の停電が発生し、全土が凍える暗闇に陥った。当局は暖房と電力の復旧に全力で取り組んでいるが、攻撃が続く中でメドは立っていない。

 10月以降、ロシアはエネルギー関連施設への大規模ミサイル攻撃を週に1回程度行っているが、23日のものは、これまでで最も被害が大きかったとみられている。

 そのため医師は停電の中で手術を行うケースもあった。ある外科医は、停電の中で生後3カ月の赤ちゃんの開胸手術を行った。何もせずに赤ちゃんを死なせるか、手術を試みるか、その二択だったと医師は言う。

 ウクライナのゼレンスキー大統領は23日、国連安保理に対し、一連の空爆を「ロシア流のテロリズム」と断じ、止めるため行動を起こすよう訴えた。だがロシアには拒否権があるため、行動を起こす見込みはないとみられる。ゼレンスキー大統領は世界に向けて「近代的な防空ミサイルシステムが必要」と強く訴え、各国に継続的な支援を求めた。

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