コロナ感染後遺症の睡眠障害、改善法を探る 「日光を浴びる」「寝る前スマホ避ける」さらに意外な心構え

深月 ユリア 深月 ユリア
画像はイメージです(metamorworks/stock.adobe.com)
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 新型コロナウイルス感染の後遺症として睡眠障害が起きることもあるという。ジャーナリストの深月ユリア氏が海外の雑誌などに掲載された専門家の見解を引用し、国内の専門家に話を聞いた。

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 ナショナルジオグラフィック誌の報道によると、新型コロナの後遺症の一つとして睡眠障害の報告が増えているそうだ。

 細菌やウイルスに感染すると「サイトカイン」という免疫機能を担う物質(免疫系細胞から分泌されるタンパク質)が炎症を引き起こす。 低濃度のサイトカイン炎症は睡眠を促進させるが、濃度が高くなると不眠や睡眠の断片化につながるそうだ。そのため、 「最初のうちは睡眠時間が増え、症状が最も厳しい時期になると、不眠などの睡眠障害に悩まされる」という研究が複数ある。多くの感染症は感染しても治れば睡眠障害も回復することが多いが、新型コロナの後遺症は「何か月も不眠が続く」という例もあり、厄介だ。

 同誌によると、米オハイオ州にあるクリーブランド・クリニックが2021年2月から22年4月までの間に同クリニックを受診した682人の新型コロナ後遺症患者を対象に行った調査によると、41%の患者が感染後最大6か月にわたって中程度以上の、7%が重度の睡眠障害があったと回答したそうだ。特に黒人患者が、なぜか他のグループに比べ3倍も睡眠障害を患う率が高かったという。

 睡眠に関する研究者のシンシア・ペーニャ・オルベア氏が 22年5月25日付で学術誌「スリープ」 に記した論文によると、「こうした(人種による)差異はパンデミックの間に一貫して見られる傾向と同じだ」という。

 また、米ハーバード大学医学大学院で精神神経免疫学を研究しているモニカ・ハーク氏によると、「新型コロナ感染後の過眠症(ナルコレプシー)、過度の眠気、夢を見ている時に蹴ったり話したりなどする、という症状も増えている」そうだ。ハーク氏によると、新型コロナの睡眠障害の原因は「サイトカイン炎症を長引かせる分子が多く産生され、通常であれば炎症を止めるはずの分子が抑制される」ためだという。

 また、筆者がアディクション(※依存症)カウンセラーの藤永マキ氏にインタビューしたところ、睡眠障害が起きるのは「コロナ禍により在宅時間が増えたことも一因」だという。というのも、 「目から入った光のシグナルによって松果体で作られたメラトニンが、睡眠の導入に必要な体温を下げる働きをして、眠気を引き起こす。しかしながら、コロナ禍により日光を浴びる機会が激減している」。

 では、どのように睡眠障害を克服すればよいのか。

 ハーク氏によれば、オピオイド(鎮痛薬の種類)などの睡眠を妨げる薬は避ける、寝る前に光を見たり音を聞いたりする習慣を減らす、 そして、寝る前にマインドフルネスのアプリを使ってリラックスする、などの方法が有効だそうだ。また、スウェーデンのストックホルム大学ストレス研究所のアクセルソン氏によると、就寝時間と起床時間をそろえて規則的な睡眠をとること、ベッドに入る時間を制限する、また、体を動かしたり新鮮な空気を吸ったりする、という方法も有効だそうだ。

 藤永氏によると、睡眠障害の改善には、「日光を浴びるため、外出の機会を増やすこと。難しければ家の電気の照明を変えることも有効だ。例えば、日中は明るい白色灯で夕方から就寝にかけては暖色系やキャンドルを使うなど」「布団は軽いものを選ぶ、頭を冷やす、東洋医学では失眠(しつみん)という不眠に有効なツボもあり、古今東西様々な解消法がある。眠れずに困った経験のある人が自分だけではないと知ることも大切だ」という。

 筆者が心理学者の富田隆氏にインタビューしたところ、「私も新型コロナの罹患者です。他の風邪やインフルと同様に、病中病後、体力を回復する必要があるため、いつもより眠くなり睡眠時間も多くなるのは自然なことです。これを後遺症と早合点してはいけません。ただ、睡眠時間をどのように摂るかは習慣性の部分もあるので、病後1週間くらいが過ぎたら、朝起きる時間をきちんと守ることが大切になってきます。その上で、必要なら短い仮眠を摂るのも良いでしょう。リハビリも兼ねて、適度な運動をすることで自然に夜は眠くなります。また、寝る1時間前はスマホなどを見ないようにすることも大切です」

 いずれにしても、光を浴びる昼と夜とのメリハリある規則正しい生活が睡眠障害の改善の秘けつのようだ。筆者もぜんそくの肺炎や風邪による睡眠障害を幾度か経験したことあるが、「眠れないこと」を気にしすぎても逆にストレスになり、ますます眠れなくなることがあるので、「気にしすぎない」ことも大事かもしれない。

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