回転すしチェーンのくら寿司(大阪府堺市)は7日、都内で事業戦略発表会を開き、10月1日から全国の519店舗のうち、都心のグローバル旗艦店をなどをのぞく488店舗で商品価格を全面改定すると発表した。現在、一皿110円と220円(いずれも税込)の基本価格は、それぞれ税込115円と165円になる。原材料費やエネルギー費の高騰によるもので、1977年(昭和52)の創業以来となる全面改定。死守してきた「100円」皿(税込110円)が消える。
現在110円の60品のネタのうち、あじ、真だこ、生だこ、オニオンサーモン、えんがわ、鉄火巻は高価格の165円カテゴリーに。田中邦彦社長(72)は「コストの高騰が、企業努力でまかなえなくなった。原料が高い。2倍、物によっては3倍となっている。この6商品については、どうしても115円では維持できない」と厳しい台所事情を話し、理解を求めた。
一方で、7月から導入した220円の「できたてシリーズ」18種類などは、55円の値下げになる。165円のカテゴリーには約40種類が並ぶといい、田中社長は「110円のものを5円上げさせていただくのだから、どこかで価格を下げないといけない」と、高価格帯の値下げ理由を説明した。
くら寿司はシステムを改修し「皿単位の価格設定」を撤廃する。これまではきめ細かい価格設定ができず、110円の皿を2皿重ねて高価格帯の「220円」の価格をカウントしていたが、異なる価格帯の皿を投入しても自動計算できるようになり、フレキシブルな価格設定が可能となった。
田中社長は、10月からの新価格を当面維持したいとしながらも「不安定要素がたくさん。できるだけ価格は安く売りたい。希望としてこの価格でやっていきたいが、世の中が許してくれるか…。115円のものは110円で売りたかったが、それは無理でしょうと。いずれは来ますでしょうね。逆に言うと、165円のものを120円、130円で売る時もある」とし、社会情勢を見ながら価格変動する可能性を示唆した。
同店では客席ごとに「ビッくらポン!」と呼ばれるガチャガチャがあり、5枚投入ごとに1回ゲームできる仕組みがある。高価格帯の165円皿は、これまでの2皿から1皿としてカウントされることになるという。