尼崎でマンホールを磨く女子高生を発見!その理由を聞いてみると…人気アニメが繋いだ奇跡に感激

ぽすわんのカノー ぽすわんのカノー

マンホールは本来、道路の下の水道や電線、ガス管などを確認したり掃除をする為のものだが、近年、ご当地マンホールデザインマンホールと呼ばれるデザイン性の高いものが増加している。最近だと愛知県岡崎市在住の人気YouTuber・東海オンエアのメンバーが描かれたマンホールが話題になり、それを見るために"聖地巡礼"するファンもいるようだ。

筆者の住む兵庫県尼崎市に、マンホールを磨く高校3年生の女の子がいる。そこに描かれているのは、来年で30周年を迎える国民的忍者アニメ『忍たま乱太郎』の原作『落第忍者乱太郎』のイラスト。作者の尼子騒兵衛さんが描き下ろしたものだ。

尼崎市内の喫茶店で食事をしていた際、たまたま出会った彼女が「今からマンホールを磨きに行く」というので、思わず連絡先を交換し後日取材を行った。彼女の名前は、鉄薇(テラ)さん。

「忍たまにハマったのは、去年からです。実は幼少の頃は全く観ていなかったのですが、去年、お姉ちゃんに聖地巡礼に誘われて一気にのめり込みました。」

兵庫県に住む彼女は、身近な聖地に足繁く通い、高校生が楽しめる範囲でファン活動を加速させていったそうだ。

「マンホールがあるのは、ニュースで知っていたのですが、写真は徹底して見ないよう気をつけていました。はじめてこの目で見た時は感動で崩れそうになったのを今も覚えています」

磨くきっかけとなったのは何度目かの来訪の時に遭遇した通り雨。近くのコンビニに走ってウェットティッシュを購入し、雨で汚れたマンホールを磨いたという。

「過去にTwitterでマンホールを磨いている投稿を見たことがあったので、私も磨かなきゃ!と思いました。以後、習慣になりました。ある時高齢の夫婦に『何してんのー』と声をかけられて経緯を伝えた時には『がんばってね〜』と暖かな声を掛けていただきました。尼崎の人の優しさに触れましたね」

ちなみに磨く原動力を聞くと

「他に来てくれた人に少しでも綺麗な状態で見てほしいからです!」

と笑顔で答えてくれた。

忍たまを通じた暖かな経験は他にもある。昨年開催されたミュージカル「忍たま乱太郎」第12弾に参加した際には、帰りの電車で大好きな滝夜叉丸の人形を無くしてしまった鉄薇さん。途方に暮れた彼女がTwitterで呟いたところ、100を超えるリツイートと共に有益な情報が集まった。

「いくつかの返信の中に電車に詳しい方からコメントがありました。最終的に人形は、教えてもらったその駅から見つかったんです! 連絡を受けたのが夜だったので、翌日始発で迎えに行きました。大阪で忘れたのに、奈良で見つかったのには驚きました」

ミュージカル会場はJR森ノ宮駅。環状線に乗り、JR大阪駅で紛失に気づいた時間から逆算して鉄薇さんが人形を失くした車両を割り出したのは、忍たまファンで鉄道オタクの忍鉄(ふくちゃん)さん。

「私も忍たまの大事なぬいぐるみを所有していますし、かつ鉄道が好きだから力になりたかった」と忍鉄さん。さすがと言うほかないが、彼は東京在住にもかかわらず関西の鉄道事情を把握しており、鉄薇さんが人形を失くしたのは奈良方面へ向かう車両だと瞬時に特定できたのだ。

忍たまを愛する気持ちが、高校生と鉄道オタクを引き合わせ、大好きなぬいぐるみとの再会につながったのは1つの奇跡。この件以降、今まで以上に忍たまファンとの交流が深まっていったそう。

「あの騒動からもうすぐ1年になるんですけど、いまだにたまたま会った人たちが『滝夜叉丸の子だよね』とか『もう落としちゃダメだよ(笑)』だなんて言ってくださいます。尼崎で会う人は皆さん本当に優しいです。この作品が本当に大好きなので、私はとりあえずマンホールを磨くということを頑張っていこうと思います」

◇ ◇

アニメ放送30周年となる来年にかけて、さらに忍たまファンの愛は加速するのでは……と尼崎在住の筆者も予感にワクワクが止まらないのであった。

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