牧場で拾ったダチョウの卵を洗う飼育員の日常を紹介する動画がYouTubeで100万回以上再生された。動画を投稿したのは埼玉県にある「美里オーストリッチファーム」。ダチョウを専門に飼育する牧場で、1.2トンのエサを作ったり小屋の掃除をしたりする飼育の裏側を見せる動画が注目を集めている。
人気の動画では、ダチョウが産んだ卵を食用やふ化用として保存するため殻を洗う過程を約40秒にまとめた。縦幅約14~15センチ、重さ約1.6~2キログラムといわれる大きな卵を、50度のお湯で洗い流しながらブラシでゴシゴシとこする。消毒液を吹きかけ洗浄を終えると、重さを測り、日付やパドック番号を記録して保存庫へ入れる。
同牧場の飼育員で、動画の撮影・編集を担当する小西雄貴さんによると、映像にあるのは卵についたフンやサルモネラ菌を取り除くための洗浄作業だという。ブラシで力強く洗うのは、卵の表面にある空気を取り入れるための小さな穴に入り込んだ汚れを取るため。卵殻の厚さは約3ミリと、鶏卵の約15倍で強くこすっても割れないそうだ。熱めのお湯で洗うのも、表面の穴から水が入り込みにくくするための工夫だという。
YouTubeでは、1袋20キログラムのエサの材料60袋を飼育員が持ち運び機械へ投入する大変なエサ作りの様子も公開している。「飼育している人とダチョウの絡み」や飼育員の日常作業を織り交ぜることで、ダチョウに興味がない人の関心を引く狙いがある。
約200羽のダチョウを飼育する同牧場は、今年10月に「ダチョウのダチョウによるダチョウのための博物館」を開館予定。等身大の剝製やスタッフ手作りの骨格標本などを展示し、「マイナーな動物」であるダチョウについて知る機会を提供する。
小西さんにダチョウの豆知識を聞くと、「ダチョウって顔が小さいんです。目玉は両目で120グラムあるんですが、脳みそは40グラムしかない。そのせいでとにかくアホなんです」と明かしてくれた。記憶力が弱いため、朝昼晩と1日3回会う飼育員のことも忘れてしまうようで「毎回初対面みたい。一向に覚えてくれないです」と苦笑い。「アホさゆえに愛嬌がある」とダチョウの魅力を力説していた。
現在、博物館の準備費用をクラウドファンディングで募っている。受付は31日まで。