海水浴場や盆踊りの露店などで買い食いする「イカ焼き」もまた夏の思い出の1つ。人間にとって、イカは食材としても身近な存在だが、そのルーツには諸説あるという。ジャーナリストの深月ユリア氏が研究者に取材し、「イカはかつて地球外生命体だった可能性がある」といった説を紹介する。
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イカ(英名・スクイッド)は、タコ(英名・オクトパス)のように「デビルフィッシュ」とも呼ばれ、クノクネした蛍光色の体に大きな目があり、地球上の他の生物と比べると実に個性的で、時には「悪魔」のような不気味さを醸し出す。昨今、イカの不思議な生態が研究され、「イカは地球外生命体ではないか」という説がささやかれている。
オカルト作家・研究家の山口敏太郎氏によると、 「イカは他の惑星から飛来した生物だと言う説があります。というのも、イカは高等生物だという説が有力です。イカには長い一対の触腕があり、人間の両腕の役割を果たしています。また、イカの目はなんとレンズでピントの調節をする『カメラ眼』です」
鋭く大きなイカの目は、 無脊椎動物にも関わらず、ヒトと同じ単眼で、視力はヒトに置き換える約0.5ほどなので、平均的な人の視力だろうか。そして、山口氏が指摘するようにヒトと同じ「カメラ眼」の機能を持つ。「カメラ眼」とは、レンズでピントを合わせる機能があり、対象物をより高解像度で見ることが可能になる。この機能は敵から身を守ったり、獲物を捕まえる時にも役立つ。
また、無脊椎動物の中で、イカは最も学習記憶能力が高く、短期記憶のみならず、長期記憶も覚えているという。2020年、米国科学アカデミー発行の学術誌「PNAS」に掲載された論文によると、アメリカオオアカイカの生態を研究したところ、体の縞模様12種類の色素の変化のパターンによって互いにメッセージを送り合っているという。人間でいえば、ひとつひとつの縞模様は「単語」、全体のパターンが「構文」となる。高度なコミュニケーション故にアメリカオオアカイカは必要な時に集団で獲物に襲いかかり、その後は協調して獲物を分け合うというのだ。つまり、高度なコミュニケーションで社会性が極めて高い生物だといえる。
さらに、米マサチューセッツ州にある「ウッズホール海洋生物学研究所」の分子生物学者のジョシュア・ローゼンタール氏の研究によると、イカは神経細胞内のRNA分子を高速で変化させる特殊な能力があるという。同氏はイカがこの能力によって、体の各部で不調があらわれた際に、遺伝子の働きを調節して再生している、という仮説を唱えている。
以上の説から、「イカ」は山口氏が指摘するように「高等生物」といえるだろう。そして、地球上の他の生物に比べ不思議な特徴を持つが、本当にイカは地球外生命体なのか?「地球の生命の起源は、宇宙由来の微生物の芽胞、DNAの鎖状のパーツ、アミノ酸が組み合わさったもの」というパンスペルミア説があるが、もしかしたら、何億年も昔に地球に到来した「イカの生命の源」が、海底に落ちて、海底に生息していた地球の生物の体に何らかの形で入り込み、独自の進化の過程を踏んでいるのかもしれない。