王林が語る、青森県民にとって「ねぶた祭」が持つ意味 3年ぶり開催に思いあふれる

福島 大輔 福島 大輔
王林
王林

 日本を代表する祭りの1つである青森県の「ねぶた祭」が、2日に開幕した。新型コロナウイルスの影響で、実に3年ぶりの開催。青森県のご当地ダンス&ボーカルユニット・りんご娘の元メンバーでタレントの王林がよろず~ニュースの取材に応じ、青森県民にとっての「ねぶた祭」の存在の大きさを語った。

 現在、自宅は青森ながら、活動の拠点を東京に移した王林は「青森の四季を感じる瞬間は絶対青森にいたくて『ねぶた祭りの時は1週間ぐらい青森にいさせて下さい!』って事務所に頼んだんです。そしたらそれは守ってくれて、青森にはいられるものの、全部仕事が入って…」と苦笑い。実際、開催中のねぶた祭にも、テレビ3局に3日間連続で中継にゲスト出演する。

 王林にとっても久々のねぶた祭。「青森の夏って本当に短くて…。ねぶた祭の期間の何日間かだけが本当に暑くて、終わるとすぐ秋になるっていう感じなんです。農家さんたちは、毎日作業がある中で、祭りの間の一瞬だけ、夏のいろんな思いをぶつけて、また頑張ろうってなる。長い冬、長い真っ白な世界からやっと色づいて、暑い夏を、短い夏を楽しんで、またそこからは冬にめがけるっていう…」としみじみ。

 さらに「極端なことを言えば、ねぶたの1週間だけが、青森の夏なんですよ。それがなかったのは、私たちに夏がなかったというのと一緒で。青森県がずっと元気なかったのって、そこだなって思うんです。コロナだからというだけじゃなくて、ねぶたがないってのは、それぐらいのこと」と、青森県民にとってねぶた祭は「夏そのもの」であると力説。「それが久しぶりに開催されるのは、今まで以上の盛り上がりをみせるんだろうなと思う」と期待も口にした。

 王林はさらに、ねぶたの製作者側にも思いを馳せる。「私たち、見る側の人たちも熱い気持ちがあるけれど、ねぶたに直接関わってるねぶた絵師さんやお囃子をやられる方の思いは、もっとすごい。そこのために、1年間生きているんですよ、4、5年前から『どんな絵にしようか』とかずっと考えながら、そこがすべてで…」と気持ちを代弁し。「今回、中継に参加させていただく中で、県外の方が見るあの雰囲気の楽しいねぶたも1つの魅力だと思うんですけど、絵師さんの絵に対する思いとかまで感じてもらえたらいいなと、そういうのも中継で話したいと思います」と語った。

 青森市のねぶた祭に加え、弘前市の「ねぷたまつり」など、県内には同時期に複数箇所で大きな祭りが行われる。弘前出身の王林は「ねぶた祭は青森で代表的なんですけど、私は弘前の『ねぷた』」がさらに好きなんですよ。ねぶたみたいに大騒ぎするお祭りじゃないんですけど、扇形で平面の山車が城下町を練り歩いて、跳人(はねと)もいなくてお囃子だけ。それがすごく格好いいんです。その他も全部違う楽しさがあって、全部見たかったんですけど、今年は仕事なんで」と笑った。

 幼少時から、ねぶたへの思い出は尽きない。「始まる1カ月ぐらい前から、放課後の時間に囃子の音が響くんですよ。どれだけ遠くにいても、内から響く音というか、心臓に届いてくるんです。それを感じると『ああ、来るな』って」と述懐。「小さいころからその音が染みついてるから、その音を聴くだけで青森の人は、津軽弁で『じゃわめぐ』っていうんですけど、血が騒ぐんですよ。信じられないぐらい盛り上がりますから。毎日、畑で黙々と作業しいる農家さんとか、漁師さんとか、伝統工芸品の職人さんとかが、あの一瞬だけ、青森全体で一つになって盛り上がる。東京より〝熱い〟1週間の夏が今年は来るんだと思うと、ワクワクします」と声を弾ませた。

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