猛暑が続く中、男性向け日傘への関心が高まっている。SNS上には「命を守るために」「恥ずかしがらずに」と暑さ対策に使用を勧める声や、「日傘差してる男性増えた」「まだ男性の日傘は進んでない」と普及状況に関する意見が投稿されている。これまで女性のファッションに合わせた日傘が主流だったが、近年、メーカー各社は男性に焦点を合わせた商品も打ち出している。
「男の晴雨兼用傘」と銘打った「Wpc. IZA」シリーズは、昨年3月の発売から今年7月上旬までに約12万5000本以上が売れたヒット商品。「男性が日傘を持ち歩く習慣の提案」がコンセプトで、宣伝ビジュアルには俳優の窪塚洋介を起用した。
製品はブラック、ネイビー、グレー、オフホワイトの「男性を意識したカラーバリエーション」と無地の「スタイリッシュな見た目」が特長。ブランドを展開する株式会社ワールドパーティーの広報担当・中村友香さんによると、フリルや刺しゅう付きの日傘を好まない女性の購入も多いという。
さらに店頭のポップで「晴雨兼用」を強調したり、2000~3000円台が中心の「手に取りやすい価格」にしたりすることで、男性への訴求力を高めている。中村さんは「どうしても日傘は女性が持つものと思っている方が多かったと思う。男性が持つハードルが高いということを考えると、どちらの機能(晴雨兼用)もあったらいい。兼用だったら持ちやすいので」と説明する。
シリーズの1番人気は手のひらサイズに折りたためるコンパクトタイプ。UVカット率・遮光率は100%で、遮熱効果のある加工も施している。中村さんは「熱中症予防や体調管理に役立ててほしい」と話した。
老舗生地メーカーの株式会社槙田商店は今年6月、「紳士の日傘『Shade』」を発売した。「色の深みや光沢感が特徴」という生地メーカーならではのチェック柄で、持ち手部分は焼き色をつけたトウを使用した。「金具は男性が好むようなエイジングを楽しめる金属をアクセントにつけている」(同社代表の槇田洋一さん)と、細部にもこだわった。
外勤ビジネスマンの暑さよけを想定した製品。槇田代表は「男性がしっかりしたものを持っていると、(営業先の)相手にいいイメージを与えるポイントになると思う」と「上質な傘」のイメージをアピールする。
税込み1万6500円と高価格帯の商品だが、発売から約2週間で10本以上の注文があったという。槇田代表は「値段が高くてもファッション的な感覚で探している方がいると感じている」と手応えを語った。