気温と湿度が急激に下がり、「肌のカサつき」や「かゆみ」「粉ふき」に悩む人が急増する季節だ。実は、毎日のお風呂も肌の状態に大きく影響している。医療法人社団鉄結会はこのほど、全国の20~50代の男女300人を対象に日常の入浴習慣と肌状態の関係について調査を実施、結果を公表した。
お湯の温度やシャワーだけなど、入浴スタイルと現在の肌状態の自己評価について尋ねたところ、「42℃以上の熱いお湯派」では68.3%が乾燥を実感しているのに対し、「38~39℃のかなりぬるめ派」ではわずか34.4%にとどまった。熱いお湯を好む人は、ぬるめのお湯を好む人に比べて約2倍も肌乾燥を感じている結果となった。
入浴後の保湿タイミングでは、「10分以内に保湿している」は12.3%、「10~30分以内」は11.4%で、推奨される30分以内に保湿できている人は合計でわずか23.7%だった。「30分~1時間後」が28.7%、「1時間以上経ってから」が19.0%、「保湿をしない」が28.6%と、多くの人が最適なタイミングを逃している。
入浴時間別に「入浴後に肌がつっぱる・かゆくなるなどのトラブルを経験したことがある」と回答した割合を見ると、「30分以上の長風呂派」で72.0%がトラブルを経験しているのに対し、「10~15分」では43.3%だった。長時間の入浴は、肌の天然保湿因子が流出しやすくなり、肌トラブルのリスクを高める可能性があるという。
入浴習慣、睡眠の質、肌状態の3つの関係性についてでは、「入浴でリラックスできた日は睡眠の質が良い」と感じる人は73.0%、「睡眠の質が良いと翌朝の肌状態も良い」と感じる人は67.3%、そして「入浴習慣・睡眠の質・肌状態の3つは連動していると思う」と回答した人は64.3%に上った。多くの人が、入浴→睡眠→肌状態という好循環の存在を実感している。
肌コンディション改善のための入浴習慣の見直しでは、68.3%が前向きに考え、具体的なポイントとして「お湯の温度を下げる(52.7%)」「入浴後すぐに保湿する(61.3%)」「入浴時間を短くする(38.0%)」「入浴剤を変える(29.3%)」が上位に挙がった。
アイシークリニック・高桑康太医師の話「熱いお湯に長時間つかると、肌表面の皮脂膜や角質層に含まれる天然保湿因子(NMF)、セラミドなどが過度に流出してしまいます。これにより肌のバリア機能が低下し、水分が蒸発しやすい状態になります。入浴後は肌が水分を含んでいるように感じますが、実はその水分は急速に蒸発していきます。蒸発する際に肌本来の水分も一緒に奪われてしまうため、入浴後10分以内、遅くとも30分以内の保湿が重要です。肌の乾燥やかゆみ、粉ふきなどでお悩みの方は、まず入浴習慣を見直してみてください。お湯の温度を40℃前後に下げる、入浴時間を15分程度に抑える、入浴後すぐに保湿剤を塗る―これだけで肌状態が改善することも少なくありません」