懐かしのビデオアニメと思いきや最新アニメ!? 一人のアニメーターが10年かけて完成させたの渾身の作品

橋本 ダイスケ 橋本 ダイスケ

クールジャパンの代名詞であり日本の誇る文化、アニメ

今、SNS上では「懐かしい」「ビデオに録画していた」などと話題のあるアニメがある。そのタイトルは「古代戦殻ジェノサイダー」

いかにも90年代なデザインのキャラクターとロゴ…ついつい懐かしく感じてしまう人がいてもおかしくないが、それは存在しない記憶。

なぜならこれは、個人が製作した90年代アニメ風の最新アニメだからだ。

90年代のアニメを観ていた人なら納得の「お約束」的な構図をふんだんに盛り込み、OP映像の後には架空のゲームCMまで収録されている徹底具合。作り込みのリアルさが話題を呼び、吉祥寺アニメーション大賞のギャグマンガ部門大賞を受賞するに至った「古代戦殻ジェノサイダー」だが、この作品はどのような経緯で制作されたのだろうか。作者でサークル「デフロスト」のほそかわさん(@zilli_san)にお話を聞いた。

橋本ダイスケ(以下「橋本」):「古代戦殻ジェノサイダー」を制作なさったキッカケをお教えください。

ほそかわ:幼少期から好きだったロボット物や大人が主人公の等身大ヒーローが減少してしまった90年代半ばに、昔流行していた聖闘士星矢という作品に出会い、そこから80年代の作品を探求するようになりました。

リアルタイムで自分の好きなものが供給されないというフラストレーションから「自分で作るっきゃない」と漫画家を目指し、高校に入学後Flashに出会いアニメーターを目指すようになりました。高校時代から擬似的なTVアニメ演出を入れた作品を作りたいという欲求と、TVアニメのオープニングを作りたい欲求が強かったのです。

その後、大学の卒業制作という学生時代の最後のタイミングで「古代戦殻ジェノサイダー」のプロトタイプとなる「特装司令レギオス」を手掛けることができましたが、就活との同時進行もあり思うように作れませんでした。

大学卒業後、どこか映像方面の業界に入れないか考えた時に「実績を作り技術を磨くためにも、卒業制作で作りたかった作品を今こそ手掛ける時では」と思い立ちました。

橋本:全ては自給自足から生まれたアニメなんですね。約10年の歳月を掛けた素晴らしい作品ですが、何人態勢で製作なさったのでしょうか?

ほそかわ:基本的に一人です。難しい背景画数枚、楽曲、声の出演はそれぞれ使用許諾を頂いたり有償で依頼しましたが、背景画のほとんどとキャラクター作画部分は全て1人で描きました。

橋本:お一人でアニメって作れるものなんですね…。所々に懐かしさを感じる演出が目白押しですが、影響を受けた作品を教えてください。

ほそかわ:幼少期に見ていたドラゴンボールZや、小、中学生時代に触れた聖闘士星矢、大学生時代には天空戦記シュラトやテッカマンブレードを見てモロに影響を受けました。

設定をしたためていた時は現在ほど「疑似レトロな作品を作ろう」という意識が強くなかったので、近代の物から素直に受けた影響も少なからずあります。

橋本:吉祥寺アニメーション大賞のギャグマンガ部門を受賞後、反響等はいかがでしょうか?

ほそかわ:完全版の公開や各コンペでのノミネート、受賞によって、疑似レトロ作品が好きな層には概ね知れ渡ったのではないかと思います。

本音を言うと「10年分の人生捧げたんだからもっと伸びて欲しい!」という所なのですが、自分の作品を冷静に俯瞰すると至らない点も色々見えてきます。TVアニメ化、OVA化のオファー心よりお待ちしております(笑)。

橋本:様々なゲームをモチーフにしたCMの作品ですが、実際にゲーム化したりはしないのでしょうか?

ほそかわ:映像とアニメの制作に手いっぱいなので、ゲームのプログラミングを学んでる余裕が現状まったく無いんですよね…。「ゲーム化したい!」というプログラマーの方がいたらグラフィックを手伝うんで是非お願いしたいです。微妙な出来になっても昔のキャラゲー感出て良いと思います(笑)

橋本:サークル「デフロスト」としての今後の展望があれば、お聞かせください。

ほそかわ:現在「古代戦殻ジェノサイダー」TVゲーム版の新作映像を制作し秋頃を目処に公開する予定です。11月開催のデザフェス参加をはじめ、関連グッズや映像の展示上映も積極的に行う予定です。

懐かしグッズも出来る範囲でもっと増やしたいですね。

次回作の構想もあるのですが、改めて徹頭徹尾80年代末のアニメを再現した作品を作ってみたいですね。制作にかかった10年の間に自分の80年代全体に対する含蓄も増えましたので「古代戦殻ジェ

ノサイダー」の半端だった部分をブラッシュアップして広い世代に楽しんでもらえるストーリーのある作品を作りたいです。

◇ ◇

お話を聞き、ほそかわさんの在野アニメーターとしての熱い想いを知る事が出来た。近い将来、ジェノサイダーがテレビ放映され、存在しなかった記憶が現実の記憶になる日が訪れるかも知れない。

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