軟体動物のタコが「エイリアンだった」という学説があるという。「未知の遺伝子を持つ」との研究結果に由来した考えだが、ジャーナリストの深月ユリア氏が海外の学術誌に掲載された記事を検証し、識者の考えを聞いた。
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猛暑が続く昨今、タコの刺身やカルパッチョがおいしい季節である。ところで、かつて、人類が想像していたエイリアンは「タコのような姿」だった。それは、イギリスのSF作家のH・G・ウェルズ氏の小説「宇宙戦争」で描かれたタコ型エイリアンのイメージが世界中に広まったのだ。
確かに、改めて考えると、8本の足と大きな頭部を持つタコは、地球上の生物の中では実にミステリアスで、その器用にくねくねした動きは不気味にも思える。そして、容姿のみならず、複数の研究によってタコは摩訶(まか)不思議な生物で「地球外から到来した可能性がある」ことが判明した。
2015年8月12日、米シカゴ大学の神経生物学者、クリフトン・ラグスデール博士らはタコの遺伝子を解析し、学術誌「ネイチャー」に論文を発表したが、タコの遺伝子は地球上の生物として実に特異で高度な構造をしていて、さらに、他の生物が持たない特有の遺伝子を多く有しているという。結果、研究チームは「タコの遺伝子は他のあらゆる生物と異なり、エイリアンのようだ」と結論付けたのだ。
18年5月、学術誌「Progress in Biophysics and Molecular Biology」に オーストラリアの分子免疫学者率いる研究チームが発表した論文によると、「タコやイカの遺伝的データには、従来の進化論的思考にそぐわない部分がある」という。さらに、研究チームは「タコの由来は、元々は異星に生息していたものが火山噴火や隕石衝突により宇宙空間へ飛ばされ、卵のような状態で彗星(氷の塊)などに閉じ込められ地球へやって来たのではないか 」というパンスペルミア説(地球の生命の期限は、地球外にあった微生物などが隕石などにより地球に到達し、繁殖・発展した)を仮説として提唱した。
そして、 今年5月、学術誌 「BMC バイオロジー」に掲載された最新の論文でも、「タコのゲノム配列はエイリアンのようなもの」というコメントがされていた。研究によると、 タコの遺伝子にはゲノムの位置を転移できる「トランスポゾン」が数多く含まれていて、「トランスポゾン」遺伝子のうち「LINE」(長鎖散在反復配列)」と呼ばれるものが、人間の海馬のような役割を果たし、タコの高度な認知機能に関連しているという。イタリアのアントン・ドールン動物学研究所のグラツィアーノ・フィオリート氏によると、「タコの脳の機能は哺乳類と類似した高度なもの」だという。
そこで、オカルト作家でエイリアンやUMAに詳しい山口敏太郎氏に筆者が取材したところ、同氏は 「タコが宇宙人である可能性はあり得ると言える。水槽から脱出したり、パズルを解いたり、その能力は特筆に値する。他に宇宙起源の生物として、イカ・昆虫・とうもろこしなどが想定されると言われている。生命の根源がすべて進化論からスタートしているというのはもはや時代遅れの考え方なのだ」という。
やはり、タコは高度な生物で、特異な遺伝子の由来はもしかしたら地球外なのかもしれない。タコの生体の謎に関して、今後の研究にさらに期待したい。