デビュー曲「顔が良いやつは音楽をやるな」は友人へのひがみから 異色の大学生・小林右京の素顔

山下めぐ 山下めぐ

ミュージシャンが一本のマイクの前で一発撮りをするというシンプルなコンセプトで人気を博しているYouTubeチャンネル「THE FIRST TAKE」。このチャンネルが主催したオーディション企画「THE FIRST TAKE STAGE」にエントリーしたミュージシャンの中に、一際目立つキャラクターがいた。その人は小林右京

小林は、現在愛知県に住む大学4年生。普段は大学の課題や教師になるという夢のための勉強に勤しんでいる。その一方でインターネットを中心に音楽活動をしており、これまで影響を受けてきた音楽の要素を取り入れながら、新感覚のオリジナル楽曲を発表してきた。

そして「THE FIRST TAKE STAGE」にエントリーし、2021年5月、友人へのひがみから着想し、20分で完成したというオリジナル曲「顔が良いやつは音楽をやるな」をパフォーマンスし、セミファイナリストの14人に選ばれることになる。オーディション用動画の再生回数が1か月で約100万回という驚異の数字を叩き出しながら、惜しくもファイナリストを逃した小林。しかしその存在感が関係者の目に留まり、11月3日、ソニー・ミュージックから後藤次利プロデュースのもと同曲が配信リリースされ若者を中心に大きな人気を集めることになった。一躍時の人となった小林右京に、これまでの足跡について話を聞いた。

「教育実習に行っていた時期と被っていたこともあり、 実習先で生徒から沢山のサインをせがまれました(笑)。 友達や大学の先輩後輩、ネットの友達などが沢山祝ってくれて、自分以上に周りの方が盛り上がっていましたね。

自分は普段DTM(デスクトップミュージック)をやっているので、プロの方と一緒に仕事をするというのは音楽制作をする上で大変勉強になりました。ドラムのマイクの立て方だったりデモテープ段階から完パケへの企画の進め方だったり色々学ぶことが多かったですが、レコーディング含めリモートで作業を進めていったことは驚きでした。自分みたいな若いアーティストこそ、これからは柔軟に対応できるようにならなければと思います」

話題の「顔が良いやつは音楽をやるな」はオリジナルと今回発表されたものではアレンジがかなり違うという。

「元々の弾き語りバージョンは、実家の冷蔵庫の前で弾き語っているので良い意味でチープなんですが、今回はどうせならその真逆を行きたいなということで、ゴリゴリにゴージャスでおしゃれな感じにしてもらいました。曲が歌謡曲・シティーポップ風のテイストに仕上がったので、当然雰囲気もそれに合わせたゴージャスな感じが面白いかな?と思い提案したら、監督の竹内さんもノリノリでそれに付き合っていただけて結果的にこういう形に落ち着きました。気づく人はところどころ何かに気づいてもらえると思いますが、心の中に留めてほくそ笑んでくれたら幸いです」

人気が大きな盛り上がりを見せる中、小林は11月に計4回、対バン形式で都府県を巡るライブツアーをおこなった。

「県外のライブハウスに行くこと自体が初めてだったので、ツアーの前半戦(神戸・大阪)はガチガチに緊張して臨みました。一方で、後半戦の名古屋はホームなのでかなりリラックスして演奏でき、東京でもその調子を維持していいパフォーマンスができたと思います。また、自分は今までネットを主戦場にしてやってきていたので、今回沢山の出演者さんやお客さんと交流していくうちに結構意識が変わってきましたね。ネットだとお客さんが見えないのであんまり多くの人が見ているという実感もなかったんですが、今回のライブで沢山のお客さんと関わって思いを受け取って、こりゃあ一生頑張るしかないなという気持ちになりました。今後も是非こういうツアーをやりたいですね!」

多種多様なジャンルの楽曲を作り、ネットで発表している小林。そこには幼少期の音楽環境が影響しているという。

「自分が小さいときから父がGorillazやBlur、Primal Screamなどを聴かせてくれていて、洋楽を聴くのが当たり前の環境にいました。加えて父がギター大好きおじさんなので楽器は昔からいろいろと触れていました。ピアノにドラム、ベース、ギター……。小学生以降はネットにドップリ浸かっていたので、自分の好みの音楽をdigる(探す)というサイクルが小さいときから自然にできていましたね。色々かっこいい音楽に触れているうちに自分でもやってみたくなり、高1の音楽の授業で曲を作ったことが現在の活動に繋がったのかなと思います。今も昔もネットで良い音楽を知ることが多いですね。中古レコード屋で、大まかに年代を絞りながらジャケ買いをすることも多いです」

生まれながらの音楽愛が実り、世に出た小林。今後の野望についても語ってくれた。

「今作で結構ポップな音楽をやったので次はゴリゴリにアート色を強めた音楽をやりたいなぁと思っていますね。次作の構想は結構練れてきているので楽しみにしていただければなぁと思います。長期的な野望で言えば、全部自分一人で完結できるような独立したアーティストになりたいです。地元でこじんまりしたプライベートスタジオを構えて、一日中楽曲制作と配信に没頭して...…というのが理想ですね。あとバンドの『歴史は踊る』ももっとデッカくしていけたらなぁと思っています。色々言いましたが、とりあえず『一生音楽やるぞ!』これに尽きます。」

まだまだアーティスティックな才能を秘めている小林。大望を抱きながら音楽活動を続ける彼の活躍から目が離せない。

小林右京「顔が良いやつは音楽をやるな」配信中:https://orcd.co/kobayashiukkyo

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